Jan 06, 2023 interview

役所広司インタビュー 家族は痛みを共感する関係、映画は国境を超え、それを伝える『ファミリア』

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陶器職人と、海外で活躍し国際結婚を考える彼の息子、そして主人公が知り合う在日ブラジル人青年。リアルな今を生きる3人の関係を軸に、独自の視点で家族という普遍的なテーマに挑んだ『ファミリア』。国籍や育った環境、言葉の違いを超えて心を通わせ、日本の片隅が世界とつながっていく。この脚本は、実際に起きた事件を取り入れて書き上げられたオリジナル脚本だ。

バブル景気で日本の産業を支え、リーマン・ショックにより不景気を体験した在日ブラジル人。難民や差別、ヘイトクライム、テロといった問題に真正面から光を当てた本作の主人公・神谷誠治を演じるのは、日本を代表する名優、役所広司。海外映画に多数出演、国際映画祭への参加経験もある彼に、本作が描く、家族や多国籍化する日本について聞いた。

1年以上遅れたクランクイン

―― まず、今作に出演されたポイントをお聞かせください。

まず、成島監督と久しぶりに一緒に仕事しようということですかね。どんな本が出てくるか分からなかったですけど(笑)。

―― 脚本があがって2019年に最初のクランクインがあり、役所さんが入られたのが2021年だそうですね。

そうですね。結構長いことコロナで中断しました。でも中断前に、在日ブラジル人の若者たちは撮影していて、彼らは10代の成長期だから、”これはつながらないんじゃないか?”と懸念していたら、どんどんクランクインが延びて、”実現するのかな?”って思いながら待っていましたね。完成してよかったなと思っています。

―― 役所さんは今回、陶芸家という役柄で、工房でのシーンが少なくありません。陶芸はどれくらい練習をされたんですか?

クランクイン前、クランクインしてからも時間があれば練習しました。土をもらって家の駐車場に電気ろくろを置いて練習をしました。ドロドロになりながらやりましたね。

―― 穴窯もこの映画のために作られたものなんですよね?

そうなんです。だけど、撮影が中断したのであの窯も一年半眠っていたんですよ、2年くらい。

―― 劇中、実際に窯焚きされていましたが、その中に役所さんの作品もあるんですか?

これが、あるんです(笑)。家に持ち帰っても練習していたので、いっぱい作ったんですよ。焼く価値もないんだけど‥‥。撮影現場と家で作ったもののなかで出来のいいものは、陶芸指導してくれたポールさんが、保管していてくれて焼こうと言ってくれました。

出来上がりが楽しみでしたね。僕の作った陶器は重たいんですけど、スタッフも記念にもらってくれました。まだうちにもいっぱいあります。

―― 実際スクリーンに映っているんですか?

ちょっとだけね。アップにはできないですけど、ポールさんが見えるように置いたって言ってました。