彼女には観客を引き込む力がある
―― では前作『エスター』撮影当時はどういう理解をしながら演じられていたのですか?
エスターというキャラクターは、監督、脚本家らクリエイターたちによって作られたもので、彼らにはどんな性格でどんなルックスでと明確なビジョンがあったので、それをそのまま受け入れて演じていました。
監督のジャウム・コレット=セラも、それぞれのシーンで「エスターはこういう感情なんだ、こういうふうに理解しているんだ」と細かく説明してくれたので、自分で理解しながら感情を込めて演じていました。
例えば、父親を誘惑するシーンでは、「女性が男性を誘惑して拒絶されたらどう感じるか」ということも、監督がその場で説明してくれたのです。
誰かを愛したい、でも断られて自己嫌悪に陥る。そういう感情を10歳なりに理解して、純粋さを失わずに、演技に活かそうとしていました。頭で理解するというよりも、どちらかというと自分の感情で動いていたのでしょうね。
今回『エスター ファースト・キル』を演じるにあたって、前作『エスター』を見直したのですが、子どもなりの純粋さは、今回も失ってはいけないと強く感じました。
大人になると、頭で理解して演技をする傾向が強くなりますが、そうではなく純粋に役に入り込んでいた、当時の感覚を取り戻そうと心がけました。
―― 前作の誘惑のシーンはエスターが、愛を欲していたことが分かる象徴的な場面でした。今作ではそれがより強調されているかと思います。ご本人は彼女の人物像をどう捉え、どんな人だとお考えですか?
辛い過去を背負っている女性なんだなと思います。愛情を常に求めていますが、それを正しくうまく求めることができない。そしてコンプレックスを抱えていて、社会のなかでの被害者である、という認識ですね。
だから常に戦わなければならない。とても辛い生き方をしていると感じています。そういったダークな部分がありますが、これだけの人々が興味を引かれるのは彼女の中に美しさがあるからだと思います。
知識も豊富で頭がいい。お人形のような格好だけれども内面はまったくの反対。感情面では、常に崖の淵に立っていて、いつ落ちるかわからない。そういった彼女のスリリングな部分が人々を魅了する部分なのかな。これは演じていても、すごく楽しい一面でもあります。
同時に、彼女を応援したくなるといったような観客を引き込む力もあります。そういう色々な側面を持った複雑な女性なんだなと感じますね。
―― まだエスターの謎は残されています。もし『エスター ビギンズ』といった、今作より前の出来事を描く作品にオファーされたらどうされますか?
もちろん出演したいですね。観客の皆さんが、エスターのことをもっと知りたいと思ってくれるのであれば、再び演じられたら嬉しいです。
文・構成 / 小倉靖史
女優
1997年2月25日、ワシントン.D.C生まれ。
2004年、カートゥーン・ネットワークの子ども向け番組「Cartoon Fridays(原題)」に出演。その後、CMを中心に子役として芸能活動を開始。2009年に公開された映画『エスター』(ジャウム・コレット=セラ監督)に主演し、大ブレイクを果たす。不気味な言動を繰り返す主人公・エスターを怪演し、世界中の映画評論家から“ここ数年の子役の演技の中で最も勢いのある例のひとつ”と絶賛された。
主な出演作に『ピアース・ブロスナン サルベーション』(11・未/ジョージ・ラトリフ監督)、『ハンガー・ゲーム」(12/ゲイリー・ロス監督)、『アフター・アース』(13/М・ナイト・シャラマン監督)、『マックス&エリー 15歳、ニューヨークへ行く!』(16・未/ケビン・コノリー監督)、『セル』(16/トッド・ウィリアムズ監督)、『ダーク・スクール』(18/ロドリゴ・コルテス監督)がある。
裕福な一家、オルブライト家には4年前に行方不明となった一人娘のエスターがいた。だがある日、警察からエスターが見つかったという朗報が入る。父、母、兄は数年振りの再会という信じられない奇跡にこの上ない喜びを感じ、成長したエスターを迎え入れる。当時6歳だった彼女は時をへて10歳になっていた。これから幸せな生活が始まる‥‥そう思っていた。この娘が、どこかが変だと気づくまでは。
監督:ウィリアム・ブレント・ベル
原案・製作総指揮:デヴィッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック、プロデューサー:アレックス・メイス / ハル・サドフ / イーサン・アーウィン
出演:イザベル・ファーマン、ジュリア・スタイルズ、ロッシフ・サザーランド、マシュー・アーロン・フィンラン
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© 2021 ESTHER HOLDINGS LLC and DC ESTHER HOLDINGS, LLC. All rights reserved.
公開中