Apr 09, 2019 interview

ガス・ヴァン・サント監督インタビュー:名優たちとの思い出、新作に込めた想いと“人生を変えた”映画

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音楽の匂いがする?キャスト陣とのエピソード、ジャックの話は理解できず

──これまでコメディのイメージの強かったジョナ・ヒルを、ジョンが参加する禁酒会の主催者であり、ジョンに大きな影響を与えるドニー役に起用された理由を教えていただけますか?

確かに彼はコメディ映画に多く出演していますが、『マネー・ボール』(11年)や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)で2度アカデミー賞にノミネートされていますし、ドニー役を演じる素質も十分あると思ったんです。それに彼をキャスティングする前にホアキンに聞いてみたら賛成してくれましたしね。ところが最初、ジョナは「僕にドニー役はできない」と断ってきたんです(笑)。それで1年後に再び聞いてみたら「チャレンジしてみます」と返事してくれました。彼にドニーを演じてもらえて本当に良かったと思います。

──本作のキャスティングに関して面白いなと感じたことがあって、ジョンが事故に遭うきっかけを作ってしまうデクスター役のジャック・ブラックはバンド “テネイシャスD”を組んでいて、ジョナ・ヒルはヒップホップカルチャー映画の監督を務める企画があり、禁酒会メンバーとして出演するキム・ゴードンはバンド“ソニック・ユース”のメンバー、そしてホアキンは『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(05年)でミュージシャンの役を演じたことがあります。監督もミュージシャンとして活動されているので、どこか音楽の匂いがする人を選ばれたのかなと感じました。現場でみなさんと音楽についてお話されることはありましたか?

特に音楽の話で盛り上がったということはなかったのですが、例えばジャックだったら「今度の日曜日にテネイシャスDのライブがあるんだよ」と教えてくれたり、どこかのバンドの話をアツく語ってくれることはありました。まぁ結局、いつも何の話を聞かされてるのかよくわからなかったんですけど(笑)。

ジョナはファッションに興味があって、プロモーションでニューヨークに彼と滞在していた時なんかは「モダンストリートファッションが凄いことになってるんだよ」とか「建築家でグラフィックデザイナーのヴァージル・アブローがルイ・ヴィトンのメンズコレクション アーティスティック・ディレクターに就任したんだ」とか「カニエ・ウエストが凄いことをやっている」という話をしてくれたんです。そしたらキム・ゴードンが話に参加してきて、「ストリートファッションなんて昔から流行ってたし、私はSupremeのショップの上に住んでたこともあるのよ」って(笑)。それでジョナが「今のファッションはもっと凄いんだよ」って言うんだけど、キムが納得してなくて。その後、3人で通りを歩いていた時に、キムが僕とジョナの前に出た瞬間にジョナが僕の耳元で「彼女の言ってることは間違ってる!」と言ってきたんです(笑)。どっちが正しいのか僕にはわからないんですけどね(笑)。