志木那島で変わらず待っています
―― お二人は監督から具体的な要望はあったんですか?
吉岡 いや特に‥‥。
柴咲 ないですね。
吉岡 リハーサルは、もちろんありますが、その都度「このシーン、台本直したんだけど、いまのシーンでの繋がりがあるから、こうやってみる?」って話し合いながら撮影していくので、“こういった演技をしてほしい”という押し付けという感じではないです。
僕らも、その場その場で悩みながら、“本当に五島健助はどうなるんだろう”、“彩佳さんに対してどう思ってたんだろう”とか、自分たちで考えて、お芝居をしています。役者さんたちが、どう感じてどう動くか。それを中江監督が見ていて、どれをチョイスするか。そういった撮影現場が監督の求めてるものだと思っています。
監督だけでなく、カメラマンの方とか、助監督の方たちとか、本当に食い入るように見てますからね。スタッフの皆さんは、お芝居をしているときは、じっと見守っていてくださるので、こちらも色々考えます。撮影現場で得られる空気もたくさんあるんですよ。小道具ひとつにしても美術さんが考えてくれてるから、布団の向きひとつで、どっちだとかで悩んでいました。
―― どういうことですか?
吉岡 2人の寝室の布団の‥‥
柴咲 枕の位置とかですね。”頭をどっちに向けて寝てるんだろう?”って。
―― そこまで気を遣ってらっしゃるんですね。
柴咲 細かいんですけど、それで色々変わるんですよ。
吉岡 そう、それだけで変わる。撮り方も変わるだろうけど、やっぱり、役者さんが演じやすいようにっていうところをスタッフが一番に考えてくれてる。だから監督からの指示はあんまりない。というか、どんどん‥‥
柴咲 みんなで作っていく感じですね。
吉岡 現場が変わらない、同じスタッフで制作する、ということは、そういうことなのかもしれないですね。