――監督達って意外と声フェチの方が多いんですよね。
そうなんですよ。監督さんはずっとイヤフォンで声を聞いていますから。演技ももちろんですが、心地良い声って大事だと思うんです。演技の中でどう喉を使うかをずっと勉強していて、色々な方を参考にさせてもらっていました。
――今作『サユリ』でも声を意識されていたのですか。
プロデューサーの田坂さんからお話を聞かせていただいた時に「腹式呼吸は大事で、色々な俳優さんが基礎練習として行っている。演技中も腹式呼吸でお話をする俳優さんが多いけど、映像になった時に、生活を演じているのにリアルな生活の中で腹式呼吸をしている人が果たしているだろうか。皆、喉で喋っているよね。喉で叫んで、泣いて、喉で生活をしているのに、何故、演技の世界では腹式で話すんだ。確かに喉を傷めない様にするためだというのは理解出来るけど、でもやっぱり喉でやった方がリアリティがあるよね。喉を使った演技は危険だけど、リアリティに近づける手法なんだよ」と教えて頂きました。
だからこの『サユリ』で叫ぶ(感情を出す)シーンでは、自分の無理にならない範囲でリアリティを出す為に、腹式呼吸というより少し喉を使って、次の日の撮影に影響が出ない程度に喉をいじめる使い方をして演じました。声をいかにして使うか、出来ているかわかりませんが工夫してみました。
――すごい!ちなみに【則雄】に近い部分ってあるんですか。
あります。明確に「【則雄】と同じようなエピソードがあった」ということはありませんが、僕が【則雄】と同じような状況で産まれたら【則雄】と同じような子に育っていたと思います。僕もおばあちゃん子でおばあちゃんに可愛がってもらいました。【則雄】って普段はのほほんとしているけど、考えているというか、周りをちゃんと見ている。周りをきちんと回そうという意識が強い男の子。僕が人と関わるうえで大事にしていることと【則雄】が大事にしていることは同じだと感じていました。
――おばあちゃん【春枝】役の根岸季衣さんとの共演はいかがでしたか。
根岸さんは一緒の機会が多く、僕はホラー映画の出演が初めてだったので、色々な話をして下さいました。ホラー映画の撮影についても「撮影中、どんな怖いことがありましたか」など聞いたりもしました。
――『サユリ』でも怖いことがあったのですか。
僕はありませんでした。詳しくは知りませんが、不可解なことはあったらしいです。
――南出さんは霊感がありますか。
全然ありません。今のところ、見たことないです。20歳まで見えなかったらずっと見えないと言われているので、このまま見えずに過ごしたいと思っています。例え、見えたとしても見えていないフリをして過ごしていれば、見えなくなるかもしれないし(笑)。でも、少しだけもったいない気もしています。でも非現実的な事にはちょっと興味があって、ワクワクしてしまうんです。“何でここに幽霊がいるのか、何故、成仏出来ないのか”とか考えるのが好きなんです。