May 01, 2024 interview

濵尾咲綺 × 仲吉玲亜インタビュー 女子高生って本当に無敵 ! 『水深ゼロメートルから』

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高校演劇の作品を映像化する企画として『アルプススタンドのはしの方』(2020) からスタートした[高校演劇 リブートプロジェクト]の第2弾、それが映画『水深ゼロメートルから』です。本作は2019年に四国地区高等学校演劇研究大会で、文部科学大臣賞(最優秀賞)を受賞した演劇の映画化ですが、脚本を書いたのが当時、高校3年生だった中田夢花さん。本作でも本人が脚本を担当し、監督には『リンダ リンダ リンダ』(2005) 、『カラオケ行こ!』(2024) の山下敦弘監督という異色の顔合わせです。物語は、女子高生4人がプール掃除をしながら、互いの思いをぶつけ合い寄り添い合う爽やかな青春群像劇。今回は【ココロ】を演じた濵尾咲綺さんと、【ミク】を演じた仲吉玲亜さんにお話を伺います。

――お2人は2021年に上演された商業演劇「水深ゼロメートルから」の舞台でも同じ役を演じていましたが、徳島の方言での台詞は大変でしたか。

仲吉:大変でした。演劇もこの映画も脚本を書かれたのが中田夢花さんで、徳島県出身の方だったので今回の現場にも来ていただいたんです。あとはわからない台詞は録音してもらって、それを聞きながら覚えました。撮影中も方言指導の方が居て下さったので台詞を直してもらったりしました。

濵尾:方言指導の方は台詞をずっと聞いていてくれて、違っていたら何回もマイクで指摘して下さるんです。遠くで反応をくれたりもしていました。舞台の時も脚本の中田さんがずっと教えて下さいました。

仲吉:舞台も全部、台詞は方言でした。舞台版の原作者でもある中田さんがこの本を書かれたのが、高校3年生の時と聞いて「凄いな」と思いました。こんなにも思春期ならではの悩みを、登場人物ひとりひとりにぶつけているんです。私自身、高校生の時に演じていたので色々と刺さるものがありました。

濵尾:本当に衝撃だよね。中田さんが「高校生だから書けた」とインタビューでおっしゃっていたんです。それを聞いた時に、確かに高校生だからこそ感じていること、先生に対する気持ちなどが台詞からまっすぐに伝わって来ました。そこが、現役高校生の強いところだと思いました。

――心に刺さる台詞がたくさんありましたが、濵尾さんと仲吉さんが刺さった台詞を教えて下さい。

仲吉:私は【ココロ】の「JKなめんな」です。この台詞が大好きなんです。

濵尾:嬉しい。

仲吉:先生が怒っている時、「女子高生、なめんな」って思ったりしました(笑)女子高生って本当に無敵だし、それこそ皆が色々とぶつかってモヤモヤしていて、映画では【ココロ】の弱さも見られた後のあの強がった台詞が凄く好きでした。その感情が素敵ですし、“世の中に向かって「JKなめんな」って言ってやりたい”っていう感じです(笑)。

濵尾:私は【ココロ】の「可愛い私が好きやから。誰かのためではなく、私のためにメイクしてる」という台詞です。私自身も中学生の頃からモデルの仕事をさせて頂いていて、見られることのプレッシャーみたいなものがあって“可愛くないといけない”と思ってしまう自分がいたんです。舞台で【ココロ】に出会った時、私が一番共感したのも【ココロ】でしたし、【ココロ】の言葉に救われた自分がいました。この台詞は“たまに思い出したいな”と思っているくらい大切です。

――私もその台詞好きです。仲吉さんは【ココロ】の台詞をどう思われていますか。

仲吉:【ココロ】の台詞っていちいち刺さるんです。今の台詞もその通りだと思います。SNSで批判とか誹謗中傷が多い中で、例えばメイクをしている姿を見て、ちょっとでもその人が気に入らないところがあれば「ここが変」や「ブサイク」など批判の声が上がる世の中ですよね。でもメイクも服も全て、誰かのためにやっている訳ではなくて、女の子特有の「自分がしたいからしている」なんです。誰かの意見を求めてやっているわけでもありません。あの言葉は、生きていく中で背中を押してくれる台詞だと思います。

――思春期の頃って特に、自分磨きというかメイクとかファッションに興味を持ちますよね。

仲吉:私が中学の時、皆がちょっとメイクを覚え始める時期だったんです。メイクをしていると早く大人になりたいんだろうとか、早く大人になろうとしていると思われてしまって、恥ずかしい気持ちになったこともありました。でもその時も、自分のためにメイクをしていたので、本当に素敵な台詞だと思います。