――違うフェーズとは何ですか。
ひとつレベルを上げること。同じことをするにしても、今までと同じことをするのは駄目だという感じです。技をつけないといけないというか、次のステップに行かないといけない感じです。「全部やり尽くした」というとおこがましいかもしれませんが、本当に色々とやったので‥‥。これからも色々な役を演じるうえで、例えばキャラクターの肩書的に【学生】という役をこれからも演じていくなかで、今までとは違う戦法でやっていこうという感じです。先日、友達と会って悩みを話した時に、友達から「自分たちは一周まわってしまったから、そう思うんだよ」と言われて納得したんです。
――役者(演じる事)以外にしたいことはありますか。
「役者以外のことをしたい」という友達も居ます。でも私は映画や映像に関しては、演じることが好きなので、作る側にトライしたいとは思ってないんです。それは変りません。何て言えばいいのかな‥‥、演技をより楽しむようにしたい。例えば、これまでは脚本に書かれていることだけを演じていればいいと思っていたとしたら、自分の中の癖を足してみる、あるいは逆に消してみるなど足し引きをする期間だと思っています。社会的にプロデュースが出来るような地位になっていないですし、まだもう少し自分的には下積み期間だと思っています。
――演じることへの探究心、なんですかね。では演じること以外での楽しみは何ですか。
買い物!お洋服が好きなので(笑)。あとはお外に出ますね。友達と遊ぶのもそうですし、お外に出て買い物をしたり、お日様にあたるだけで楽しめます。それは欠かさずやらないと、わりと気分が落ちるタイプなので、撮影とかを万全に出来るように、お日様に当たるとか些細なことですが欠かさずにやっています。
東京国際映画祭の上映時のティーチインが面白かったので、あの時の様子をYouTubeで見ているという森田想さん。撮影中は皆と楽しんで演技をしていたと聞くと、和やかな現場だったことが会話からも伺えます。説明セリフもなく、彼らの過去を想像するには、会話の節々から読み取るしかない削ぎ落とした脚本から、俳優がその役を演じることで化学反応を起こすと監督が信じた映画『辰巳』。森田さん演じる【葵】についても口調や立ち振る舞いから生育環境を想像し、彼女の未来が幸せであって欲しいと願っていたのでした。
ヘアメイク:齋藤美幸
スタイリスト:入山浩章
裏稼業で働く孤独なヤクザの辰巳は、ある日元恋人・京子の殺害現場に遭遇する。一緒にいた京子の妹・葵とともに命からがら逃げる辰巳だったが、最愛の家族を失い、復讐を誓う葵は京子殺害の犯人を追う。葵に振り回されながらも彼女を助ける辰巳は事件の真相に迫っていくのだが‥‥。
監督・脚本:小路紘史
出演:遠藤雄弥、森田想、後藤剛範、佐藤五郎、倉本朋幸、松本亮、渡部龍平、龜田七海、足立智充、藤原季節
©⼩路紘史
公開中
公式サイト:tatsumi-movie-2024