『ケンとカズ』(2016)で新人監督賞を多数受賞した小路紘史監督。その監督の8年ぶりとなるオリジナル作品『辰巳』、裏稼業で働くアウトローの辰巳が巻き込まれる復讐と暴力からの脱出は、オーディションで選ばれた多くの俳優により、熱量の高い作品になっている。そんな中、遠藤雄弥演じる【辰巳】と共に行動をすることになる【葵】を演じるのは『アイスと雨音』(2017)、『タイトル、拒絶』(2019)などに出演する森田想。今回は、森田想さんに俳優業についてお話を伺います。
――今回演じられた【葵】という役は感情の激しい役であり感情が高ぶった状態が多いですが、演じている間、役との切り替えをどうされていたのですか。
順撮りだったし、『辰巳』の撮影期間中は『辰巳』しかやっていなかったので特に意識することはなかったです。それに自分はもともと切り替えをするタイプなので、切り替えが出来ない経験はないです。ただ、ちょっと口が悪くなることはあるかもしれないですけど(笑)。それはきっと撮影中は、毎日その言葉を喋っているからの影響ですね。そう考えると、【葵】の持つ、“悲しい”“苦しい”“お姉ちゃんはもう居ない”という気持ちを引きずることは全然なかったです。
――【辰巳】を演じられた遠藤雄弥さんとの共演はいかがでしたか。
すごく潔くって【辰巳】というキャラクターは遠藤さんに似合っていました。撮影中は【辰巳】自身が慣れ親しむような感じではないので、遠藤さんとすごく喋った記憶はあまりありません。逆に【竜二】役の倉本朋幸さんや【武】役の松本亮さんとよくお喋りしていました。相性というか、一緒にお芝居をさせて頂いていて、私に合わせて下さっていた印象です。ひたすら私が演じる【葵】は攻撃的で、【辰巳】は受けてくれる芝居になるので、それをずっとやって下さっていたのはありがたかったです。だからだと思いますが、撮影後の方が遠藤さんとお話するようになりました。
――小路紘史監督にお聞きしたところ、【竜二】という名前は川島透監督の映画『竜二』(1983)の主人公【竜二】からとっているそうです。そして【武】は北野武さんからきているそうです。
そうなんですか(笑)。
――【葵】というキャラクター名については、思い付きと(笑)
確かに、全部繋がっているわけではないのですね(笑)。私は【葵】という役名の役を演じることが多いんです。【葵】という同じ漢字でも今まで2回は演じていますね。(ドラマ「スーパーのカゴの中身が気になる私」(2023年放送)と映画『FUNNY BUNNY』(2021)。
――そう言えば、森田さんはエッジのきいた役を多く演じられているように感じています。
そうですか?でも、自分も強気なので大差ないですね(笑)。
――小学1年生の頃から芸能界で活動をされているのですね。
最初の頃は、小学生なので広告などが多かったですね。中学生くらいからお芝居をやれるようになりました。あの頃は照れっ子(照れ屋)でしたね。あと、テレビでドラマをもの凄く見ていたんです。それこそ『トワイライト~初恋~』(2008)は小学生の頃に観た洋画です。なので、その頃から芝居に対する興味はあったのだと思います。
――小学生ですでに洋画を見ていたとは素晴らしい!その当時、演じてみたい役とかありましたか。
それは、無かったですね。あの頃は想像出来なかったです。最初は、それこそ誰かの幼少期をたくさん演じさせて頂きました。それから段々と制服を着た役を演じるようになりました。それこそメインの方の傍に居る役とか、クラスメイト役などです。やりたい役というよりは“撮影に行きたい”という気持ちの方が強かったです。