Oct 26, 2023 interview

水川あさみインタビュー 人が生きていく上でとても大切なメッセージが詰まっている『唄う六人の女』

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マネキン主演のドラマ「オー!マイキー」(2000)で注目され、山田孝之主演『ミロクローゼ』(2012)が話題となった石橋義正監督が10年ぶりに長編オリジナル映画を発表。それが竹野内豊と山田孝之が人里離れた森に迷い込む幻想的でちょっと可笑しくて哀しみも滲む映画『唄う六人の女』だ。この2人が森の中で出会うのは六人の謎めいた女たち。その1人目の女“刺す女”を演じるのは『おとこのことを』(2022)で監督デビューも果たした水川あさみ。ドラマから映画、コメディからシリアスまで演じ分ける彼女に、映画や仕事、私生活についてお話を伺います。

―― 『唄う六人の女』のキャスト陣の組合せが凄く面白かったです。六人のうち、水川あさみさん、アオイヤマダさん以外の女性キャストはオーディションで選ばれたとお聞きしました。そして「水川あさみさんに一番最初にオファーした」とお聞きしました。 

そうなんですか(驚)確かにかなり早い段階でお話を頂きました。私がオファーを頂いた時には(山田)孝之の出演もまだ決まってなかったです。竹野内さんが石橋(義正)監督の『ミロクローゼ』(2012)を観て「絶対に一緒にやりたい」と思って、10年越しにこのお話が出て来たそうです。

―― 着物やメイク、アイカラーコンタクトなど凄くこだわっていますよね。

凄くこだわっていました。着ている衣装(着物)は監督が持つそれぞれのイメージに合わせてデザインされ、一から作られているんです。私の着物のデザインも役に合わせた柄になっています。衣装合わせの時は“どんな世界観になるんだろう”とあまり理解出来ていなかったんです(笑)。出来上がった作品を観て、凄くはっきりと“こういうことが監督はしたかったんだ”と理解出来ました。撮影中は六人の女が揃うこともなかったですし、私たちが出演していないシーンもどんな感じで撮影されているのか想像することが出来なかったんです。

―― この作品では、美しいだけでなく幻想的な山の表情も映し出されていましたが、京都府南丹市で主に撮影されたと聞きました。

京都府南丹市の撮影では、凄い山奥に行きました。女たちが住んでいるかやぶき屋根の家は、奈良の博物館で撮影をしたんです。忘れられないのは、京都府南丹市の山奥での蝉を食べるシーンです。あの蝉の羽は本物なんです。もちろんかじっているのは作り物ですが、くわえている羽は本物で、手で持っていた蝉は蝉の死骸で‥‥。“本当に持つの?ヒャ~”って思いながら頑張って撮影しました。本物を使うのは石橋監督のこだわりだと思います。貴重な経験をしました。

―― 調理するシーンも無表情で出刃包丁を振り翳していて。

あのシーンは自由に演じたらOKが出ました。監督はそのままが良かったみたいです(笑)。

―― 竹野内さんとの共演はいかがでしたか。

竹野内さんとは『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』(2011)以来の共演になります。久しぶりの共演でしたが、全然、変わってなかったです。“こんなにも変わらないの?”と思うぐらい変わらない、マイペースでおっとりした方でした。今回の共演者は、皆さん独特の世界観を持つ方々ばかりで楽しかったです。

―― 山田孝之さんとはもともと親しいですよね。久しぶりの共演はいかがでしたか。

そうですね。孝之とお芝居でがっつり共演するのも本当に久しぶりで、彼は同年代でずっと芸能界で仕事をしている幼なじみみたいな存在なんです。今回、一つの作品を一緒にやるというのが不思議な感じで、感慨深い気持ちになっていました。彼は熱血男だから、撮影中は凄く役に集中して演じていました。だから私は彼にベラベラと話しかけないようにしていましたね(笑)。