―― 役者の面白さと葛藤は何ですか。
葛藤‥‥なんだろう?
自分の性格なのかもしれませんが、かなり楽観的かつ、かなりポジティブシンキングではあるので、壁にぶつかるとかそういう追い詰められ方はしたことがないんです。四方八方塞がって“どうしよう?”という経験がないので、葛藤という葛藤は経験したことがないかもしれません。だから正直、わからないんです。上手く言語化できませんが、「役者って何でもあり」な気がします。この演技が駄目なら、180度違うアプローチをしてみるのもいいと思うし、それが役者の面白さなのかもしれません。面白さと葛藤が紙一重なのかもしれないです(笑)。
―― 役者が天職なのかもしれませんね。
全てのことが“面白い”と思えれば、葛藤せずに出来る。そんな簡単なことではないかもしれませんが、今現在はそんな感じです。楽観的で答えになっていなくてすみません(笑)。
―― 憧れの俳優やなりたい人はいますか。
憧れの俳優というより、僕はステフィン・カリーになりたいんです。僕が一番好きなバスケットボールの選手で、彼みたいな俳優になりたいです。NBAのゴールデンステート・ウォリアーズに所属しているバスケットボール選手で、僕にとっては神様みたいな人なんですが、人として一番好きな人なんです。試合に臨む過程であったり、日々の生き方だったり、仕事をする人としてたくさん見習うべきところがあって、彼は地道な努力を重ね続ける人で、理不尽を努力で覆す人なんです。バスケットボールの選手としては身長が188cmと小さい方で身体能力的には低いのですが、技術を手にする努力を怠らず、結果的に大きな人に打ち勝っていく。精神的にも僕はそんな人になりたいですね。
舞台挨拶でも八木勇征さんをリードするかのように最初に質問に答え、一緒にトークをする心地良い空間を作り上げていた萩原利久さん。それはいつだって「ひらきよ」としての関係を大切にしているからかもしれず、観客であるファンの人達の想いを受け止めていたからだろう、と舞台挨拶のステージ上で勝手に私は思っていました。「美しい彼」という作品が多くの人に愛される理由は、彼らが育んだ信頼関係と妥協しない撮影シーンの数々により、「人のピュアな感情」が画面にくっきりと映し出されたからなんですよね。
取材・文 / 伊藤さとり
写真 / 奥野和彦
無口で友達もいないクラス最底辺“ぼっち”平良が一目で恋に堕ちたのは、圧倒的に美しく、そして冷酷、クラスの頂点に君臨する人気者“キング”清居だった。高校を卒業し紆余曲折の末、恋人同士になった平良と清居は、平良の家で幸せな同棲生活をおくっていた。大学卒業が近づき、人気カメラマン・野口のアシスタントとして働きはじめた平良は、プロの仕事を目の当たりにし、俳優として活躍の場を広げる清居の邪魔になりたくないと、清居との距離を少しずつ置くようになっていく。「清居は神様」であり尊い存在としか考えられない平良と、平良と対等な「普通」の恋人になりたい清居は、お互いを想い合いながらも、少しずつすれ違ってゆく。
監督:酒井麻衣
原作:「美しい彼」シリーズ 凪良ゆう 著 / 徳間書店 キャラ文庫
出演:萩原利久、八木勇征、高野洸、落合モトキ、仁村紗和、前田拳太郎
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2023 劇場版「美しい彼〜eternal〜」製作委員会
公開中
公式サイト utsukushiikare_movie