Mar 16, 2023 interview

小関裕太インタビュー 初めての声優経験で、嬉しさと難しさを強く感じた『長ぐつをはいたネコと9つの命』

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―― 登場してからキャラクターの印象が、途中から変わり始めますよね。【ワンコ】は周囲に影響を与えるとても重要な役です。演じるのが難しかったのではないかと思いますが。

正直、難しかったです。聞いて頂いているとナチュラルで耳障りの良い映画に聞こえると思いますが、演じている方としては滅茶苦茶テンポが速くて、ずっと早口だったんです。自分の生い立ちについて語る時もあえて早口なので凄く大変でした。アフレコは台本を持ちながら演じるので、あれだけ長いと台本を読んでいるだけになりがちになってしまうのではないかと思って、出来る限り覚えて行こうと思いました。

1回の収録だったのですが、覚えられるところは覚えながら演じてようやく追いついた感じでした。そうしないと台詞の量的にも追いつけなくて(笑) “声優さんって難しんだな”と強く感じました。

―― これまでの『長ぐつをはいたネコ』シリーズの中で今回の作品が一番人生のテーマみたいなものが紡がれている内容だと思いました。出来上がった作品を観て、どのような印象を持たれましたか。

グッとくるところが多かったです。本国のオリジナル版を観た時の感想や台本を読んだ時の感覚から、吹き替え版で色々なキャラクター性が完成すると、全体像が見えて来て、台本を読んだ時の印象とは随分と変わりました。一番印象が変わったのは【キティ・フワフワーテ】でした。そのキャラクターの背景が見えてきて、【プス】との関係性もしっかりと感じ取れました。そのお陰で、もちろん【プス】も【ワンコ】もとても愛らしいんですが、【キティ】にも感情移入出来ました。何より【ワンコ】には自分が声を入れていながらも感情移入して“壮絶な過去を持っていたんだね”と同情したくなるような感覚になって“あ、俺の声だった”と思いながら聞いていました(笑)。

 

―― それぞれのキャラクターにほんの少し自分を重ね合わせたりもしました。小関さんはどのキャラクターに近いですか。

自分に近いのは誰か‥‥近いキャラクターは居なかったような気がします。性格が似ていると感じるキャラクターも居なかったですね。でも【ママ・ベアー】にはグッと来ました。人間の娘の【ゴルディ】に対しての口調や包み込んであげる感じが何とも言えなかったです。映画の中で【ママ・ベアー】の過去は描かれていませんが“どんな過去を持っているんだろう?”と考えてしまう役だと思います。

【ゴルディ】は結構ワガママなところがあるのに、人間と熊という血も繋がっていない関係の娘を「それでもいいよ」と【ママ・ベアー】は包み込んであげる優しさを持っている。そんなところが母性とも違う包容力のある凄く素敵なキャラクターだと思いました。