Mar 09, 2023 interview

桜庭ななみインタビュー 人からの優しさを感じ、優しさをまわりに与えられるような人になりたいと思った『有り、触れた、未来』

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―― 今もギターは続けていますか。

役だったから頑張れたし、練習期間も楽しく感じました(笑)。達成感もありますし、褒められるのも嬉しかったです。楽しい時間ではありましたが、他の音が入ってしまったり、音が濁ってしまったりして、きれいな音を出すのが凄く難しかったです。それに歌も歌わないといけない、監督が昔バンドをやっていらっしゃったので、このシーンにこだわりがあったので、かなり苦戦しました。だけどロック・スターになった気分で演じられたので楽しかったです(笑)。

―― チャレンジしたい役柄はありますか。

職業ものに挑戦したいです。例えば、台詞は大変そうですが、弁護士や学校の先生とか、もちろん私が知らない職業もあると思います。色々な職業の役を演じてみたいです。実は『ナースのお仕事』シリーズが大好きで小さい頃はナースに憧れて、看護師になりたかったんです(笑)。その影響が強くて、当時の私と同じように憧れてもらえるような作品に出演したいと思っています。私自身は『ラストホープ THE ŁAST HOPE』(放送:2013年)で看護師役を演じられたので、夢は1つ叶いました(笑)。  

―― この先の未来、どんな女性になりたいですか。

私は今のお仕事が凄く好きなので、これからもずっと女優を続けていたいです。誰かの心を少しでも動かすことが出来たり、私がこれまで感じて来たように「この職業に就きたい」と思ったり、今回の作品『有り、触れた、未来』のように“頑張って生きてみよう”と思えるような作品は人の心を動かすと思うんです。私も人の気持ちを動かせるような女優さんになりたいですね。そんな女優さんになれるようにこれからもずっと頑張ります。

山本透監督が映画撮影用にエレキギターを探していると知って、夫の数あるギターの中から男性が持っていた華やかなギターというので選ばれたゴールドのエレキは、桜庭さん演じる元バンドマンの恋人を亡くした[佐々木愛実]の元へしばらく行きました。通常は、演奏シーンなどは吹き替えにしてしまうことも多いのですが、そこは監督の嘘偽りの無い“本物の力”として映画を通して届けたい熱量だった気がします。保育士役として本物の園児たちと接するなど、リアルな表情で“命”と向き合った桜庭ななみさん。その笑顔はキラキラとしていて命を輝かせていました。

取材・文 / 伊藤さとり
写真 / 奥野和彦

作品情報
映画『有り、触れた、未来

彼氏を事故で失った、元バンドマンの女性。30歳を過ぎても、ボクシングを続けるプロボクサーとその妻。1分1秒でも長く生き、娘の結婚式へ出席したい、末期癌と闘う女性。将来に不安を感じながら「魂の物語」を演じる若い舞台俳優たち。そして、自然災害で家族を亡くし、自殺願望を抱く中学生の少女。妻と息子を亡くし少女の父親も生きる希望をなくしていたが、傷ついた娘のために、再び生きることに立ち向かいだす。そんな二人を懸命に支える年老いた祖母、優しい親友と担任教師。たくさんの人々の想いを受けて、少女の心は、少しずつ変化し始めるー。全ての登場人物が抱えている問題は、角度は違っても全て「命」と向き合った物語。いくつもの物語が、複雑に折り重なり、それぞれの人生が交錯する。

監督・脚本:山本透

原案:齋藤幸男 「生かされて生きる-震災を語り継ぐ-」(河北選書)

出演:桜庭ななみ、手塚理美、杉本哲太、仙道敦子、北村有起哉

配給:Atemo

©UNCHAIN10+1

3月10日(金)全国ロードショー

公式サイト https://arifuretamirai.wixsite.com/home

伊藤 さとり

映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。 映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。 自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。 映画コメンテーターとしてCX「めざまし8」、TBSテレビ「ひるおび」での レギュラー映画解説をはじめ、TVやラジオ、WEB番組で映画紹介枠に解説 で呼ばれることも多々。 雑誌やWEBで映画評論、パンフレット寄稿、映画賞審査員、 女性監督にスポットを当てる映画賞の立ち上げもおこなっている。 著書「2分で距離を縮める魔法の話術」(ワニブックス)。 2022年12月16日には最新刊「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」 (KADOKAWA)が発売 。
伊藤さとり公式HP: https://itosatori.net