Nov 24, 2022 interview

唐田えりか×遠藤雄弥インタビュー 恋が生まれる絶妙な距離感を、自分の人生を投影しながら表現した『の方へ、流れる』

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―― この映画をどんな方々に観て欲しいですか。カップルで観たらモメるのでは?と私は思いました。

遠藤 ヤバいですね。

唐田・遠藤 でも観て欲しいです。

唐田 この映画を観て意見を言い合い、そこから気づくお互いの根本的な部分を知ることが出来るかもしれないです。

遠藤 男女で観に行くのも、女性同士で観に行くのも、結構幅広く観て頂ける作品だと思います。

唐田 映画を観た後に皆で話し合えそうな作品だと思います。意見を聞きたくなる作品です。

遠藤 唐田さんが演じられた【里美】も気になるだろうし、加藤才紀子さん演じる【智徳の彼女:楓】も気になる存在ですよね。それに【楓】が一番の被害者だと思います。自分の目の前で彼氏にあんな言葉を言われて“2人は、どんな付き合いなの?”と思いましたし。

―― あの言葉は【楓】に聞こえていたのでしょうか。

唐田 加藤さんもキョトンとしていましたよね。それはそれで心がちょっと痛くなる感じで切ないです。

遠藤 そうだね。【智徳】と【楓】の関係性も不思議な印象を受けるし、人の付き合い方には色々な形があるということを想起させるような展開だよね。そう考えると唐田さんが言うようにカップルで観に行ったら色々な話し合いが出来ると思います。

唐田 楽しめると思います(笑)。

遠藤 ポスターのビジュアルを見て初デートにこの映画を観に行こうと思う人がいるかもしれないですけれど、僕が初デートでこの映画を観に行ったら「僕はそんなことないよ」と伝えます(笑)。

唐田 私は逆に相手に「どう思った?」と凄く聞くと思います(笑)。

遠藤 映画を通して、相手を知るきっかけになると思います。そういう意味でも是非、観て欲しい作品です。

唐田さんと遠藤さんの考え方が映画との向き合い方にも繋がるインタビュー。実は唐田さんに「伊藤さんが思う俳優にとって必要なことってなんですか?」と質問返しされたのですが、それについて「色気のある人」と答えたんです。それはマリリン・モンローのような色気というわけではなく、完璧な美しさを持つ人というわけでもなく、どこかほつれたような軟らかさを持つ人間味ある人であること、と言いました。

特にじっとその人の姿を探るように映し出す『の方へ、流れる』のような作品では、俳優の素がほのかに流れ出すことで映画の色合いが変わってしまう気がします。本作は、外ロケなのに周囲を寄せつけない2人きりの空間を生み出していた稀な作品、それこそが監督のキャスティング力を証明しているのでした。

取材・文 / 伊藤さとり
写真 / 奥野和彦

ヘアメイク・スタイリスト / 【唐田えりか】尾曲いずみ・道端亜未、【遠藤雄弥】くつみ綾音(ヘアメイク)

作品情報
映画『の方へ、流れる』

会社を辞め、姉の雑貨店で店番をする主⼈公・⾥美。そこに現れた、恋⼈を待つ男・智徳。店を出て 東京の街を歩きながら語り合うふたり。「お互いのことを知らないから⾔えることもある」――やがて彼らは互いに話していることが事実なのか分からないまま、惹かれあっていくのだが‥‥。

監督・脚本・編集・プロデューサー:⽵⾺靖具

出演:唐田えりか、遠藤雄弥、加藤才紀子、足立智充、小水たいが

製作・配給 : chiyuwfilm

2022年11月26日(土) 公開

公式サイト nohoue-nagareru.studio.site

伊藤 さとり

映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。 映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。 自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。 映画コメンテーターとしてCX「めざまし8」、TBSテレビ「ひるおび」での レギュラー映画解説をはじめ、TVやラジオ、WEB番組で映画紹介枠に解説 で呼ばれることも多々。 雑誌やWEBで映画評論、パンフレット寄稿、映画賞審査員、 女性監督にスポットを当てる映画賞の立ち上げもおこなっている。 著書「2分で距離を縮める魔法の話術」(ワニブックス)。 2022年12月16日には最新刊「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」 (KADOKAWA)が発売 。
伊藤さとり公式HP: https://itosatori.net