Oct 03, 2022 interview

前田敦子インタビュー 『もっと超越した所へ。』で感じた“恋愛”の失敗とエネルギー

A A
SHARE

―― 映画を観ていたら、こういうタイプの人達と付き合って、別れを繰り返していたことを思い出しました。でも、結婚では違うタイプを選んだんですよね。そう考えると【結婚】をどう思いますか。

そうなんですね、素晴らしい。羨ましいです(笑)。私は【恋愛】と【結婚】は別物だと思います、本当にそう思っています。私も“【結婚】するならこういう人”と想像したりもしますけれども、映画に登場する男性たちは誰一人として当てはまりません。でも【恋愛】だったら彼らでもいいと思います。

でも【結婚】は‥‥、彼らはもしかしたら50代、60代になったらもの凄く落ち着いたおじちゃんになっているかもしれないし、パパになった瞬間にイイ人になるかもしれません。でも20代、30代の時にそれ(未来)に懸けるのは難しいと思うんです。彼らのような男性たちは、きっと結婚が遅いと思うんですよね。

私は人間として成長するうえで【恋愛】で傷つくのはいいと思っています。【恋愛】で傷ついたり、「失敗した」と思ったりすることって笑い話にすることが出来るんです。つまり「色々とあったけど、楽しかったね」と、いい思い出にすることが出来ますよね。

―― 色々な経験をすると【役】にも反映することが出来ますよね。

そうですね。「私、こんなことを思っているんだ」と、ある意味自分とも向き合いますからね。我慢が出来なくなって、自分の我儘が出てしまう時もあります。その時に己を知ることが出来るというか、自分の感情にビックリすることもありますけど(笑)。若い頃にしか出来ないことなので、本当に貴重なことだと思います。今の私には無理です、そこに対しては客観的なので(笑)。

―― 今、大切にしていることは何ですか。

子どもと自分の人生です。子どもを通して“自分の人生をもう少し見つめ直してみよう”と凄く思うようになりました。私は自分と向き合うということを今までしてきていなかったかもしれないと思うことが最近あったからです。

私は自分のことを話すのが苦手なんですけど、自分が思っていることを意外と言えていないことに最近気づいたんです。だからこそ人間レッスンをここから始めたいと思っています。

―― 子どもを育てていると小さい頃の自分を振り返ったり、自分の良くない所に気づいたりします。

はい、あります。少なからず似ているところがある訳で、遺伝子的にだと思いますけど。その姿を見て“そうだよな”と思う時もあるし、子どもと自分を重ね合わせたりする時もあります。喋れるようになって、一人の人間としてどんどん成長していく彼を見ていると考え直すきっかけになりました。大変ですけど、子育ては楽しいですね(笑)。

―― 将来どんな人間になっていきたいですか。

私はここからまだまだ成長することが出来るという期待を持てるようになったところです。“まだまだやれることがある”とある意味ワクワクしています。でも、どこに行くのか、どこに行きたいのかは、まだわかりません。ハッピーな人でいたいですよね。

―― 前田さんが誰かと語っている姿からハッピーな印象を持ちます。

私はいい意味でちょっと気が抜けている感じでいたいんです。それが本当に出来れば、私も皆さんに幸せな気持ちを与えられるような人になれるのではないかと思っています。幸せを皆に与えられる人は可愛らしい人ですよね。先輩たちを見ていてそう感じます。

―― 仕事とプライベート、バランスはどうやって取っていますか。

一番心の中で考えていることは、もちろん子どものことです。でも、自分だけのことに絞ると7割ぐらい仕事が占めているんです。それをフィフティフィフティにしたいんです。もう少し人間らしいことを、大人になって出来ることが沢山あると思うので、それをしてみたいです。30代になって少し方向転換をしたいと思うようになりました。30代を過ぎてから地方に住む方とかもいらっしゃいますよね。そういうことなどを想像するのが今、楽しいですね(笑)。

人の心を緩める不思議な魅力を放つ前田敦子さん。それは役も同様で、彼女がスクリーンに現れると“何かが起こる”気がして高揚する。もしかすると存在自体がドラマティックなのかもしれません。映画『もっと超越した所へ。』では、「しいて言うなら趣里演じる鈴に近いかも」と言っていた前田敦子さん。性別や年齢に拘らず人と仲良くする愛すべき女優に今後も目が離せないのです。

取材・文 / 伊藤さとり
写真 / 奥野和彦

ヘアメイク / 高橋里帆(HappyStar)、スタイリスト / 有本祐輔(7回の裏)

作品情報
映画『もっと超越した所へ。』

それなりに幸せな日々を送る4組のカップルに訪れた、別れの危機‥‥。ただ一緒にいたいだけなのに、今度の恋愛も失敗なのか?それぞれの“本音”と“過去の秘密”が明らかになると時、物語は予想外の方向へと疾走していく。

監督:山岸聖太

原作:月刊「根本宗子」第10号『もっと超越した所へ。』

出演:前田敦子、菊池風磨、伊藤万理華、オカモトレイジ、黒川芽以、三浦貴大、趣里、千葉雄大

配給:ハピネットファントム・スタジオ

©2022『もっと超越した所へ。』製作委員会

2022年10月14日(金) 全国公開

公式サイト happinet-phantom.com/mottochouetsu/

伊藤 さとり

映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当。 全国のTSUTAYA店内で流れるwave−C3「シネマmag」DJであり、自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。また映画界、スターに詳しいこと、映画を心理的に定評があり、NTV「ZIP!」映画紹介枠、CX「めざまし土曜日」映画紹介枠 に解説で呼ばれることも多々。TOKYO-FM、JFN、TBSラジオの映画コーナー、映画番組特番DJ。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。心理カウンセリングも学んだことから「ぴあ」などで恋愛心理分析や映画心理テストも作成。著書「2分で距離を知事メル魔法の話術」(ワニブックス)。
2022年12月16日には最新刊「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」(KADOKAWA)が発売 。 https://www.kadokawa.co.jp/product/302210001185/
伊藤さとり公式HP: https://itosatori.net