―― ディーンさんは音楽活動もされて、映画だけでなく絵本も作られ、絵本寄贈のプロジェクトを立ち上げられ、クラウドファンディングで支援金を募って日本やアジアの子どもたちへの学びの機会に役立てる活動も行なっています。ご自身の中から湧き上がって来るものを行なっていらっしゃいますが、私から見るディーンさんはご自身がやりたいことではなく、誰かを救うためにも行動しているように感じています。
ディーン そう思って頂けるのは嬉しいです。ありがとうございます。自分が“やりたい”と思わないことは出来ないですけど‥‥。願わくは自分がやりたいことをやって、結果それが幸運にも誰かのためになっていたら素晴らしいと思います。“これは絶対にやってはいけない。この線を越えてはいけない”と思うことはやりませんが、自分でも“やりたくなくはない。やってもいい”と思えることはできる限りトライしてます。もし結果それが誰かのためにもなってたのなら、自分としても“結果OK”という感じです(笑)。
―― 蒔田さんは何か“やりたい”と思っているものはありますか。
蒔田 普段自分がお芝居をしているのは、自分のためというよりは作品を観て影響を受けて「もう少し頑張ってみよう」と言ってくれる人が居るからです。それは親や友達だったりする時もあります。人のためにやっているという意識はありませんが、自分が好きなことで誰かのためになっていればいいなとは思っています。
ディーン そこだよね。演者って受けの仕事なので演じ続けていると監督のためにやっている、監督やプロデューサーが作りたい作品のために自分は居るという感覚もあると思います。そんな中で作品を観てくれる、作品に触れてくれた人が“いい方向に向かってくれたらいいな”という気持ちを持ち続けることはとても貴重で、大切なことだと思います。
蒔田 そうですね。もちろん監督が望むこともしたいですけど、お互いが一番良いところで演技がしたいと思っています(笑)。
ディーン 本当にそうだね、素晴らしいことだと思います。
ひとりではなく皆で作るものが映画なのだ。けれど誰のために映画を撮っているのかも考えなければいけない。ディーン・フジオカさんも蒔田彩珠さんも自分がやったことがささやかながらも誰かのためになっていればという程よく肩の力の抜けた強い芯を胸に秘めて俳優を続けているように感じました。なによりも日本のアクションチームの素晴らしさを日本でも知って欲しいという願いから生まれた艶やかなアクションシーンとエキゾチックな色彩美に目を奪われる無国籍でありヒューマニズムを描いた映画なのです。
文 / 伊藤さとり
写真 / 奥野和彦
日光大江戸村で働く立石大輔は抜群の身体能力の持ち主だが、社交性がなく、一方日本の文化に傾倒している変わった男で、周囲からは距離をおかれていた。同僚の送別会が行われたパブには高校生でありながら、年齢をごまかして働くアユミ、アユミが祖父・隆三と暮らしている土地一帯を県議・黒崎と結託し、中国人ブローカーに売り払ってしまおうと画策している地元のヤクザ長山組・陣内、佐伯らの姿も。Pure Japaneseキットという、日本人の純度を図る試薬が出回っていた。その場での検査を拒否した立石だったが、自宅でPJキットを使用してみると、数値は100 %。何故か湧き上がる高揚感。アユミの家の敷地は重機が搬入され、強引に掘削が着手される。アユミは立石に助けをもとめ、立石は今まで封印してきた暴力衝動を爆発させるのだった。
監督:松永大司
出演:ディーン・フジオカ、蒔田彩珠、渡辺哲、金子大地、坂口征夫、村上淳、嶋田久作、別所哲也
配給:アミューズ
配給協力:クロックワークス
©2021「Pure Japanese」製作委員会
2022年1月28日(金) 全国公開
公式サイト purejapanese-movie.jp