May 29, 2021 interview

高岡早紀が語る、主演作『リカ ~自称28歳の純愛モンスター〜』のリカは台本を何回か読んでいる中で声のトーンが決まっていった

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第二回ホラーサスペンス大賞を受賞した五十嵐貴久のサイコスリラー小説「リカ」シリーズは、2019年10月に「リカ」、2021年3月に前日譚「リカ ~リバース~」でドラマ化されたと同時にSNSで話題沸騰、遂に映画化へと発展。ドラマも手掛けた松木創監督により、『リカ ~自称28歳の純愛モンスター〜』は6月18日全国公開となります。自称28歳の雨宮リカが真実の愛を求め、愛した男性を期せずして殺害していくラブサイコスリラーは、想像を覆すキャラクター設定により、中毒性ある抜群の面白さ。リカに翻弄される刑事には市原隼人が扮し、恋人役として内田理央が出演。今回はドラマに続き、“純愛モンスター”リカを演じた高岡早紀さんに「愛に囚われた」女性リカについて独自の考えや、演技について伺います。




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――高岡早紀さんが演じられたリカは、愛に執着するサイコパスとも思える人物です。声のトーンや表情、立ち振る舞いが凄く個性的で、リカの人柄が浮かび上がって来ると共に、とても惹きつけられました。

「役作りはどうでしたか?」とよく質問されるのですが、自分ではよく分からないのです。「試行錯誤する」という感覚は演技をする上で実はないんですよね。説明が難しいんですが、一番最初に台本を読んだ時にもう決まってしまうというか。もちろん台本というのは、ありとあらゆる人たちが一生懸命にキャラクター設定を行って「じゃあ、これでどうだ」と準備稿から作っているものだと思うんです。普通に本を読んでいる時もそうですが、頭の中で勝手に登場人物の顔などを想像して読んでいきます。

それと一緒で台本では、それこそリカを私が演じると決まっているので「台本に書いてある」としか言えないです。私の場合ですが、台本を読んだ段階で役作りは決まっている、というのが答えなのかもしれません。細かくいうと、台本を何回か読んでいる中で声のトーンが決まっていったりします。

――『リカ ~リバース~』(2021 / THK)では、リカの母親・麗美を演じられていますが、リカとは似て非なりの違う役ですが、しっかりとDNAが受け継がれて行く演技をされているように感じましたが。

もちろんそこは大事な部分でした。それで言うと、もともとリカを演じていて、その後『リカ ~リバース~』でお母さんの麗美を演じたのですが、既にリカと麗美は違います。台詞の言葉使いもリカと麗美では違うので、演じるだけで全然違うキャラクターになるんです。

その点で言えば特に役作りで苦労するのは所作ですね。声のトーンは「もう少し低い声で」と言われれば、すぐに変えることが出来るものですが、所作はその人の背景から来るものなので一番難しく、所作でその役の人物像が見えてきます。例えば、物をテーブルに置く時に音を立てて置くのか、音を立てないで置くのかで、その人物の人柄が見えてくるから一番気を使うのは所作ですね。

――長年培ってきた演技の経験から、身体に染み付いているのもあるんでしょうか。

でも、新しい台本をもらったら「あれ?どうやって覚えるんだっけ」と、俳優同士でもよく話したりもするんです(笑)。まだドラマは、NGを出したら「本当にごめんなさい。もう一回頑張ります」と言って撮り直せるんですが、舞台の台本は「どうやって覚えるんだっけ。こんなに覚えられない、駄目だ」といつも思います。俳優は長年やっていますが、ドキッとすることもやっぱりあります(笑)

――高岡さんが演じられた【リカ】は本当に絶妙な魅力を持ち合わせていて、モンスターなのに可愛らしささえ感じるという。

もともと制作陣の方でもグロいとか、気持ち悪い、怖いだけのものを作ろうと思っていなかったのではないでしょうか。だからこそ、私にオファーしたということもあると思うんです。私が演じているからこそあるのかもしれませんが、既に脚本に書かれている段階からやっていることが、色々と可愛いんです(笑)それこそ、お花をポイと貰ったら花言葉を全部知っていて、その花言葉が「真剣な恋」とか「新しい恋」とか「ピュアな想い」とか、それだけで妄想を膨らませてポッとなってしまう。本当に可愛いんですよね。何をとってみても、適当にやっているのではなく、ちゃんと彼女なりに一生懸命に生きているんです。