――映画では一つの部屋から突然違う世界の扉が開かれるようなシーンがたくさん出て来ます。
話は75歳のおばあさんが家に一人で居るだけの話で、行動範囲も近くの病院とか図書館など、凄い狭い生活範囲の映画なので、それをいかにエンターテインメント映画にするかを試行錯誤した感じです(笑)
――蒼井優さんと東出昌大さんが演じられた桃子さんの若かりし時代の恋模様も、しっかりと綴られていましたが。
周造は桃子さんにとって“夢の美男子”ですから、東出昌大さんがぴったりだと思いました。お二人のお陰でなかなか懐かしい感じに撮れました。大衆食堂みたいなお店を作ったんですが、いい感じのお店が出来て、出会いのシーンとか撮影してて面白かったです。
――沖田監督はCGやアニメーションを使用した作品をこれまで撮られていないですよね。
初めてになります。今回は桃子さんの心の内で遊ぶみたいなところがあったので、ちょっと楽しく見せる為には色々な仕掛けが必要で、そういう部分でCGやアニメーションを利用しました。
――セットや美術など、実家のような匂いがし、細部にこだわっているようにも感じましたが。
実家のイメージだったので、自分の実家の内装を東映に建てた感じです。だから実家にある額とかも持って行って、セットに置いたりもしました(笑)
部屋が転換する部分については、美術部の安宅紀史さんがめっちゃ頑張ってくれたんです。凄く長い奥行きのある畳の回廊も作ってくれました、さとり先生という仙人がまさかの子供の姿で出て来るとは安宅さんもきっと思ってなかったですよね(笑)