Jan 21, 2026 interview

高杉真宙インタビュー 見つめた“優しい嘘”と家族の30年 『架空の犬と嘘をつく猫』

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弟の死をきっかけに現実から目を背け続ける家族の中で、たったひとり家族と向き合う【山吹】が、他者との深い関わりで自分の人生を見つめていくファミリードラマ『架空の犬と嘘をつく猫』。

原作は『川のほとりの立つ者は』で本屋大賞にノミネートされた寺地はるなさんの同名小説で、『愛に乱暴』の森ガキ侑大監督が『浅田家!』で日本アカデミー賞脚本賞を受賞した菅野友恵さんとタッグを組み映画化。本作で心を痛めた母の為に優しい嘘をつき続ける主人公【山吹】を演じるのは、高杉真宙さん。そんな【山吹】に深く関わってくる幼馴染【頼】には伊藤万理華さん、彼の初恋相手【かな子】には深川麻衣さんが扮し、【山吹】の優しすぎる性格による“歪み”も描かれていきます。今回は、この難役を演じた高杉真宙さんに主人公の真意という[ネタバレ]も少し語って頂きつつ、高杉さんの憧れる人間像も伺いました。

ーー『架空の犬と嘘をつく猫』では、様々な人の背景が自然と見えてくる物語でした。その中心人物として高杉さん演じる【山吹】がいます。【山吹】という役は、感情を優しさで隠すような性格なので難しかったと思うんですが、演じてみていかがでしたか。

そうですね。僕はこういう言い方はどうかと思われるかもしれませんが、【山吹】のようなキャラクターが好きなんです。我慢する役というか、そういう役がすごく好きで、どちらかと言うと僕はそういう役の方が愛せるんですよね。だから黙々と進んでいけました。

ーー【山吹】というキャラクターは、台詞として言っている事と心で思っている事が少し違うキャラクターですよね。そういう部分を分析するのが好きということ?

はい、ある種、積み立てやすいキャラクターでした。基本的に僕は、台本がすべてだと思っているんです。台本には起承転結があって、ストーリーの流れがあって、そこに登場人物の感情の流れがあるので、そこからキャラクターの情報を得ていきます。今回は幼少期も含めて家族の30年を描いた物語なので【山吹】の情報が沢山ありました。台本から彼の言動や行動を汲み取って、“彼をどれだけ理解してあげられるか?”ということが役作りだと思っています。だから今回は、僕にとっては分かりやすかったです。

ーーということは【山吹】は、ご自身に近い部分があったんですか。

近いかは分かりませんが、理解は出来ましたね。彼が彼になった理由が明確というか。幼少期の出来事が書かれていましたし、その事に対してどう思って過ごして来たかがあって、それが現在に繋がって、現在、彼は幼少期の思いを経て、今ここに居るから、ここから先の言動がこうなっていく。という過程と結果が見えやすかったです。だから僕は【山吹】というキャラクターの性格というか、彼を理解することが出来ましたね。

ーー確かに、この映画はそれぞれの生育環境での性格を読み取る映画としても深いんですよね。そう言えば、高杉さんの役者人生もずいぶん長くなりましたよね。

なんだかんだと16年? 17年目に入ったかもしれません。

ーーこれまでの経験から、役者として何を大切にするのがいいと思っていますか。

結局、どのくらい自分が演じるキャラクターを好きになれるか、その作品を好きになれるか、愛してあげられるか、だと思います。そこが自分の中で矛盾していると演じるのが難しくなってしまうんです。例えば理解をしていない、ただただ台詞を言うだけ、覚えているだけになっていると、自分の中で役との乖離が発生してしまう感じがして。だからキャラクターや作品を好きになることが、僕は大切だと思っています。

そして作品を作る、作品を公開する、取材を受ける場もそうですが、結局、人と人との繋がりなので、「好き」という感情を大事にしていかないといけないと思っています。当たり前のことが凄く重要だと、今はすごく思います。