Nov 13, 2025 interview

舘ひろしインタビュー 藤井道人×木村大作と向き合う現場は“挑戦の連続”だった 『港のひかり』

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――舘さんが今回の撮影で一番手こずったシーンはどこですか。

んー、手こずったシーンはそんなにないです。ただ辛かったのはラストシーンです。寒い中、水をかぶってね。最初に入れ墨を見せるシーンがあるじゃないですか、それでヤクザとわかる。それで後半でもあるんですが、あれは僕から「入れ墨を見せたい」と言ったんです。藤井監督とお話をして決めました。僕はスーツを着て椎名(桔平)君演じる河村組・組長【石崎剛】の所に行きますよね。その時に「スーツを脱がされて、白いシャツに水をかけられて、入れ墨が浮かび上がるというのをやりたいんです」と提案したんです。それでやったんですけど、いやぁ寒かったです (笑) 。

――あれ、舘さんの提案だったんですね!確かに印象的なショットでした。あと、斎藤工さん達との乱闘シーンもあったじゃないですか。

あれは痛いだけだから、大丈夫 (笑) 。

――舘さんは「現場は楽しくが大事」とよく仰っていますが、今回の現場ではどんな楽しみがありましたか。

今回は楽しいというか。大作さんって現場で口癖みたいに「バカヤロー」とか言うんです(笑) 。昔のキャメラマンですから。僕は以前から大作さんのことを知っているので、「まあまあ」と (笑) 。

藤井監督はそういう現場を経験したことがないので、きっと驚いたかもしれない。だから僕の使命は藤井監督をお守りすることではないかと思って、大作さんをなだめながら一方で「藤井監督、モニターがないこの現場で不自由だと思いますけど、頑張ってください」と言ってました。ある意味、僕にとっては楽しい現場でした (笑) 。

――舘さんが仲人みたいな役割 () 。今回の映画は、撮影後に被災地になってしまった能登半島が舞台です。2024年の2月には撮影地の石川県輪島市や氷見市へ舘プロとして行かれて、自ら炊き出しもされています。

僕にはそのくらいしか出来ないから。

――なぜ、被災地での炊き出しを続けようと思われているのですか。

それはやっぱり石原プロの伝統であり、石原プロの良き伝統は繋いでいきたいと思っているからです。