ーー舞台の魅力はなんですか。
堤:生でやっていること。同じ作品をやっていても一回ごとにお客さんも違うし、土地が違えばお客さんの反応も違う。その空間に来てくださる人たちと時間を共有しているあの感じが好きですね。なんていうか“今”という感じ、ミュージシャンの方々がレコーディングをするのも楽しいけど、ライブをやった方が楽しいという感覚と同じだと思います。
ーーシムさんはいかがですか。
シム:いつも真面目に向き合うことです。自分が演じるキャラクターの台詞をちゃんと自分のものにする。それは現場ですぐに出てくるものではないので、撮影に入る前に台詞の練習とか、監督とのコミュニケーションをとることなど、真面目に向き合うことしかないなと思っています。お芝居は本当に難しいので、そうしないと私は演じることが出来ないのではないかと思っているので。
ーー三宅監督と沢山コミュニケーションをとられたのですか。
シム:はい。撮影に入る前に、監督とメールでこの映画について、そして自分が演じるキャラクターについて色々とメール交換をしました。「どういう映画を参考にすればいいか?」「自分が演じるキャラクターはどんな性格なのか?」とかそういうやり取りを細かくして、無声映画を中心にチャップリン映画とかも観たりしました。それも楽しかった思い出です。
日本のカルチャーが好きで黒澤明監督作品ももちろん観ていたシム・ウンギョンさんと、日本の名監督の作品を時折見直すという堤真一さん。そんな二人だから、今回の三宅唱監督作品『旅と日々』の何気ない情景の美しさや俳優の細かな演技を捉えたカメラに感嘆の声をあげていました。雪深い庄内での撮影による二人の可笑しな関係にニヤけながら、絵はがきのような光景にうっとりする『旅と日々』。俳優陣の演技の素晴らしさにも感服しきりなのです。
シム・ウンギョン:ヘアメイク MICHIRU for yin and yang(3rd) / スタイリスト 島津由行
堤真一:ヘアメイク 奥山信次(barrel) / スタイリスト 中川原寛(CaNN)

強い日差しが注ぎ込む夏の海。ビーチが似合わない夏男がひとりでたたずんでいると、影のある女・渚に出会う。何を語るでもなく、なんとなく散策するふたり。翌日、ふたりはまた浜辺で会う。台風が近づき大雨が降りしきる中、ふたりは海で泳ぐのだった。つげ義春の漫画を原作に李が脚本を書いた映画を大学の授業の一環で上映していた。上映後、学生との質疑応答で映画の感想を問われ、「私には才能がないな、と思いました」と答える李。冬になり、李はひょんなことから訪れた雪荒ぶ旅先の山奥でおんぼろ宿に迷い込む。雪の重みで今にも落ちてしまいそうな屋根。やる気の感じられない宿主、べん造。暖房もない、まともな食事も出ない、布団も自分で敷く始末。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出すのだった‥‥。
監督・脚本:三宅唱
原作:つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」
出演:シム・ウンギョン、堤真一、河合優実、髙田万作
配給:ビターズ・エンド
©2025『旅と日々』製作委員会
2025年11月7日(金) TOHOシネマズ シャンテ、テアトル新宿ほか全国ロードショー
公式サイト bitters.co.jp/tabitohibi
