ーー雪の中のシーンの撮影も大変だったのではないですか。
堤:一番の問題は新雪の中を歩いていくシーンだったので、リハーサルが出来ないというか、足跡をつけることが出来ないんです。1発OKというか、1回でやらないといけないんです。その為、カメラマンや照明の方の準備が大変で、僕らは「あっちの方向に向かって歩いてください」と言われた指示に従い、そこを歩けばいいだけだから全然、大丈夫。
シム:ただ、カンジキを履いて歩くのはちょっと難しかったです。

ーーお互いにお薦めしたい映画を教えてください。
シム:そうですね (悩) 。私はパク・チャヌク監督作品がもの凄く大好きなんです。尊敬している方です。パク・チャヌク監督の『別れる決心』(2022) という映画がありまして、私は劇場で5回ぐらい観ました。
堤:そうなんだぁ。
シム:本当に大好きな映画で、是非、堤さんにも観て欲しいです。観てください (笑) 。あとはパク・チャヌク監督の最新作『NO OTHER CHOICE (英題) 』もお薦めです。日本公開時のタイトルはまだ分からないですが、日本語だと『仕方ない』というタイトルになると思います。このお話も凄く面白いというか、ちょっと可笑しくて。今の社会が持っている色々な問題が描かれている映画です。あとパク・チャヌク監督特有のブラックコメディも入っているので、堤さんがパク・チャヌク監督のそういうテイストをどう感じるのかにも興味があります。
ーー堤さんが演じられそうな世界観ですよね。
シム:そうですね。イ・ビョンホンさんが演じられている主人公の役とか、日本でリメイクされたら堤さんに演じて頂きたいくらいです。堤さんがあの役を演じたらどんなキャラクターが出来上がるのか?それも楽しみです。今回の作品は、人間の表と裏がちゃんと描かれた作品でした。とても面白かったです。
堤:小津安二郎監督とか、成瀬巳喜男監督、黒澤 (明) 監督の映画は、アクション的なものも凄く好きなんですけど『生きる』(1952) とか薦めたいですね。
シム:『生きる』、大好きです。
堤:やっぱり知ってるよね。たぶん僕よりたくさん映画を観ているよね。
シム:いえいえ。
ーー成瀬巳喜男監督の作品など昔の作品を観たりするのですか。
堤:正直、成瀬監督の作品は何か事が起きるわけではないんです。日常的なその時代の雰囲気というか、そういう感覚を探りたい時に観ます。黒澤監督の『椿三十郎』1962) や『用心棒』(1961) などの映画はアクション映画でスカッとしたい時に観ます。『七人の侍』(1954)は好きですけど、長いのでなかなか気軽には観られないな(笑)。
