――そうなんですよね。それに気づけない、【高野初】のようなお父さんって居ますよね。
遠藤 俺の女房に言わせると、俺にもああいう所があるそうです。目の前のことでいっぱいいっぱいで、視野が狭くなってしまう。周りが見えなくなって、何となく迷惑をかけてしまう。男の人には、そうなりがちな人が結構居るかもしれません。「何がいけないの?」って、言われてもわからない人がね。
井川 わかります。気にしている部分が全然違うから。
――「一緒に居ればもう安心」という関係ですよね。
遠藤 そうかもしれないね。「何?これ以上、何が不服なの?」という思いがあるんだろうね。素の俺はこの映画の男と違って、もう少し分かるようにやって来たけどね。怒られても、怒られても(笑)。
――遠藤さんは作品 (ドラマや映画) を、奥様と一緒に観るようにされているとお聞きしていますが、今回も一緒にご覧になったのですか。
遠藤 毎日ではありませんが、その時間が唯一、一緒に居られる時間なので。この作品に関しては別々に観たんですけど、女房は凄く気に入ってました。
井川 本当ですか。嬉しいですね。

――遠藤さんのいつもとは違う一面が見られる役だったので、新鮮でした。今回の映画は、監督はもちろんですが、息子役の黒崎さんも素晴らしかったですよね。監督と阿吽の呼吸みたいなものが画から見えてきて、凄い俳優さんだと思っていました。共演していかがでしたか。
遠藤 凄いよね。俺はこの作品の前に『さよなら ほやマン』を観ていて、あの役で黒崎くんはずっとヘラヘラ笑っていたから、本人もそういう人なのではないか?と思っていたんです。それで今回「『さよなら ほやマン』の人だ」と聞いて、アキラ役で出演している「MOROHA」のMCアフロさんが出て来るんだと思っていたんです。そしたら黒崎くんだったので驚いたんですよ。全然ヘラヘラしてなくて、普段もまったく違う。えぇ?!『さよなら ほやマン』の演技は全部芝居だったの?とビックリして。彼は本当に演技が上手いですよ。
井川 本当に監督と似ているというか、体内で流れているものが同じなんじゃないかと思います。
遠藤 黒崎くんと監督は息が合うんでしょうね。
