――それでも難しい役だったと思います。
井川 そうですね。前半はとても辛かったです。でもそれだけではなくて、後半で再会する時、もうわだかまりはなくなって、肉体は消えてしまったけれど魂は成長し続けていたんじゃないかと思ったんです。映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990) ではないけれども、少しロマンティックで切ない再会であり。“そうあって欲しい”という家族ならではの監督の想いが投影されているのではないか?と感じたりもしました。

――後半の家族のシーンが象徴的というか、そこから井川さん演じるお母さんと遠藤さん演じるお父さんの関係がやっと見えてくるところからずっと見惚れていました。
井川 パリンッて登場するところですかね?
遠藤 あれ、ヒョコッて感じで、ひょうひょうと出て来るところがまた凄いんだよね。
井川 みんながガラスを拾っているところに私は私の時空というか、ちょっと不思議なシーンですよね。あの日の撮影は朝まで通しでしたよね。
遠藤 あのシーンは2日間にわたって撮影したんだっけ?確かそうだった気がするなぁ。息子【高野蓮】を演じる黒崎くんが、俺の顔を見ると笑うようになっちゃって大変だったのよ (笑) 。
井川 遠藤さんはその前の家族での撮影シーンでも物凄くカレーを食べていて、完食する程の食べっぷりを見せていたんです。そうそう、リハの時から全部食べていたんですよね(笑)。
遠藤 だから、何年かぶりに会ったシーンでは凄く食べるのを抑えました。本当に食べ過ぎちゃってお腹がもういっぱいでね(笑)。
井川 でもその後、スイカも食べていらっしゃって‥‥。
遠藤 スイカはね。黒崎くんも食べ過ぎていたよ (笑) 。

――家族のスタイルを凄く考えさせられる映画だと思いました。それでいて監督のセンスが随所に光っているというか。
遠藤 そうそう、台詞も独特でいいんだよね。井川さんの台詞も凄くハマっていて、僕は好きなんだよね。
井川 私が演じるお母さん【高野由美子】は、ちょっと危うい感じがしますよね。



