――子ども達が映画に出演したことがきっかけとなり、映画を作る、俳優になるという選択も持て、今後の仕事の可能性も広がりますよね。
実際にそうやっている子もいます。今現在、オーディションに受かって、俳優をやっている子もいます。頑張ってそういう道に進んで、何か創造的なことをやりながら自分でご飯が食べられるようになるのであれば、それに越したことはないです。

――今後の人生でこれだけやっておきたいものはありますか。
特にないかな。でも、よく「監督になれ」とは言われますが、監督をやれば自分が豹変することはわかっています(笑) 。あまり褒められないほうに豹変する気がして (笑) 。
そんな自分を見るのは嫌だというのもあるし、色々なことを役者やスタッフにお願いしたくなっちゃうというのもあるかな。
――それなら映画プロデュースとか。
それは可能性としてはあると思います。頼まれることがあれば、参加することはOKです。それこそ『太陽を盗んだ男』(1979) なんか、今、リメイクしたら面白いだろうし、児童養護施設で育った子ども達や、これからの子ども達がどうやって社会に向かっていくのかといった話も映画に出来たらと思うし。もっと大きな広がりをもった社会をテーマにした話とか色々なものを映画で観たいですね。
最近は、ライブ活動も積極的に行なっている佐藤浩市さん。一度、ライブを拝見しに行った際、バンドメンバーへの気遣いや、故・原田芳雄さんへの思いを語るMCに胸が熱くなりました。今や日本映画を牽引する俳優として、映画やドラマには欠かせない存在となっている浩市さん。映画を愛する浩市さんがプロデュースした作品を、いつか観られる日を密かに楽しみにしています。ちなみに本作では、かえるくんと地球を救おうと立ち上がるヒーロー姿が、やたらと哀愁を帯びていて目が離せないのです。『アフター・ザ・クエイク』は、ミステリアスな語り口で人間の心の奥底を覗き込む演出にハートを撃ち抜かれ、映画から自分の心の奥まで見つめてしまった作品です。
スタイリスト:喜多尾祥之 / ヘアメイク:及川久美(六本木美容室)

2000年に刊⾏された作家・村上春樹の短編集「神の⼦どもたちはみな踊る」に収録されている4つの短編をベースに、オリジナルの設定を交えて映像化。1995年の阪神・淡路⼤震災以降、それぞれ別の時代・場所で孤独を抱える4⼈の⼈⽣が交錯し現代へ繋がる、喪失と回復の物語。
監督:井上剛
脚本:⼤江崇允
原作:村上春樹「神の⼦どもたちはみな踊る」(新潮⽂庫刊)より
出演:岡田将生、鳴海唯、渡辺⼤知、佐藤浩市、橋本愛、唐⽥えりか、吹越満、黒崎煌代、黒川想⽮、津⽥寛治、井川遥、渋川清彦、のん、錦⼾亮、堤真⼀
配給:ビターズ・エンド
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公開中
公式サイト bitters.co.jp/ATQ/
