――完璧ではない人って確かに魅力的で、物語の主人公もそういう人の方が輝いて見えるんですよね。
そうですね。お芝居もある程度の緊張や不安、自信も大事ですが、共存している人の方が僕は見ていて興味を惹かれるんです。分からないことに怯えている人の芝居に何故か心を揺さぶられるんです。だから自分の中で「不安に打ち勝とう!」としている部分もありつつ、今はそこを「打ち勝つ」ではなく、感じられる人でありたいと思っているのが正直な気持ちです。絶対に自分より凄い役者は居ると思い続けることで、僕が好きな役者で僕がいられるかな。そう感じているので、常に色々なことに怯えていたいと思っています。でも自信も持っておく、です。

――そのバランスが少しずつ変わっていった出演作とかありますか。
それで言うと如実に変わったと思ったのは、テレビドラマで大衆に届いたと感じた時です。この仕事って実感がなかなか得られないじゃないですか。例えば賞をもらうなど目に見える形で評価されれば実感すると思うのですが、普通に仕事をしていると、どれだけ人に届いていて、どれぐらいの熱量で知ってもらえているのか、自分では掴みづらいんです。そういう意味ではちゃんと役者として自信を持って進んでいいと一瞬思えたのが、昨年のテレビドラマ「ライオンの隠れ家」をやっていた時に得た評判だったかもしれません。今は完全にそれのお陰で当時より大きな不安があるんですけど(笑)。その繰り返しでいいのかな?
作品を重ねるごとに演技に磨きがかかる坂東龍汰さん。今年はカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された映画『ルノワール』のようなアート作品から、10月に公開される呉勝浩原作の映画『爆弾』というメジャー映画まで、タイプの違う役で演技の幅の広さを見せてくれています。そんな坂東さんが大好きな作品と言いながら、声の演技に葛藤したという『ヒックとドラゴン』。その声の演技は本人が思っているのとは違い、見事に役になりきったナチュラルな感情表現により、アクションシーンも多い映画を吹き替えで存分に堪能できる作品へと昇華していました。是非、映画館で【ヒック】に自分を投影し、カッコ良くて可愛いドラゴン【トゥース】の背中に乗って空を飛ぶ極上の体験を。

バイキングの少年ヒックは、村に襲来してきたドラゴンを偶然撃ち落とすことに成功。だが心優しいヒックはドラゴンを仕留めることができず助けることに。いつしか彼らは心を通じ合い、ヒックはドラゴンをトゥースと名付け、父親、友達、仲間たちには内緒にして会っていた。しかし、ヒックは敵とされるドラゴンとの友情とドラゴンの一掃を目指すバイキングの掟のはざまで葛藤し悩む。やがてドラゴンの世界の驚くべき秘密が明らかになった時、彼らの世界を揺るがす大きな試練が待ち受ける。
監督:ディーン・デュボア
出演:メイソン・テムズ、ニコ・パーカー、ジェラルド・バトラー、ニック・フロスト
日本語吹替:坂東龍汰、Lynn、田中正彦、高木渉、内田雄馬、村瀬歩、神谷浩史、斉藤梨絵 ほか
配給:東宝東和
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公式サイト hic-dragon-movie
