Sep 12, 2025 interview

坂東龍汰インタビュー 揺れる心とともに挑んだ吹き替え初挑戦『ヒックとドラゴン』

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――寛一郎さんや村上虹郎さんに対してジェラシーとかないのですか。

ありますよ。でも、良いジェラシーなんです。この感覚が自分の原動力に変わるんです。「頑張りたい」とか「負けたくない」が、マイナスの方ではないんです。むしろ僕がその役を出来なくなって、寛一郎になったりしたら、凄く嬉しいです。「寛一郎だったら絶対に素敵になる」「虹郎だったら素敵になる」って思える仲間が居るのは“いいな”って思っています。

――3人で演技論とか話すのですか。

演技論はほとんど喋らないです。芸能界の全体のこととか、役者の立ち位置について話したりしています。話を共有出来る存在って貴重です。同じ価値観を持っていて、もちろん違う部分もありますが、アーティスト側で居てくれる人達です。でも彼らから僕はエンタメ側にも行った方がいいとアドバイスされていて、「どちらも行き来出来る俳優になった方がいい」とずっと言われています。もはや僕の応援団です(笑)。

――皆さんタイプが違うから尚更良いですね。【ヒック】と【トゥース】はお互いの存在によって自信を持つことが出来ました。坂東さんが今までの人生の中で「この出来事のお陰で、自分に自信が持てた」というものがあれば教えて下さい。

役者を始めた頃から、根拠のない自信が凄くあったタイプなんです。多分、本当は自信がなさ過ぎて、そういう根拠のない自信を持っていないと立っていられなかったというのがひとつあると思います。だから役者を始めた頃は内心、ずっと不安でした。自分よりお芝居が出来る人って当たり前に居ますよね。始めたのも20歳の時からで、『十二人の死にたい子どもたち』(2019)に出演した時、周りを見たらすでに経験を積まれている方が沢山居るわけです。“オーディションで選んでもらったけど、その時、たまたま良い何かが出ただけで、本番になったら見抜かれて降板させられるのではないか?”とか、“いつか自分の芝居が下手なのが本物の人達にバレて、役者を続けることが出来なくなるのではないか?”みたいな感情をずっと抱えていました。それをもうひとりの根拠のない自信がめちゃくちゃある自分が覆い被せていたんだと思います。でもたまに出て来るんですよね、臆病者の坂東が。自分が常に感じている芸能界に対する恐れもそうですし、“仕事がなくなってしまうかもしれない”という恐怖もそうです。それらをいまだにずっと持ち続けていることも“大事なのではないか”と思っちゃったりもしています。多分、バランスですよね。芝居もそうですが。