Sep 12, 2025 interview

坂東龍汰インタビュー 揺れる心とともに挑んだ吹き替え初挑戦『ヒックとドラゴン』

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――俳優業でも自分が演じる役の声の出し方も演技プランで構築していると思いますが、そこはいつも意識しているのですか。

はい、すごく意識しています。演技では声のトーンやテンポなど、役をイメージして、めちゃくちゃ意識して発しているんです。だから得意なほうだと自分自身では思っていたのに、今回は難しかったですね。不思議だったのは、映画館で観た時に字幕版で観た時は思わなかった感情が吹替版を観た時に湧いたことです。吹替版では自分の声で【ヒック】が動いているじゃないですか。顔は違うのに、段々と自分に見えて来るタイミングがあったんです。

声を当てている時も、【ヒック】の次の芝居のチョイスが、僕が演じているような感覚があって、あるシチュエーションでの【トゥース】に対するリアクションとか、ボディーランゲージまで、“僕が演じていたら、こういうふうに動くかもしれない”と思わず共鳴するタイミングが結構ありました。テムズさんに会って話してみたいとさえ思いました。不思議な体験でしたね。

――この映画は実写と最新の映像技術の融合で見事なファンタジーアドベンチャーになっています。日本でも増えていますが、VFXを駆使したハリウッド映画的な作り方を体験してみたいですか。

もう夢ですね。羨ましい。『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』(2005)ではライオンと話しをしますよね。『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2005)ではドラゴンと戦ったり、まさに自分がその中に入っているという錯覚を起こせる魔法の技術だと思うんです。その世界が僕の世界と思えちゃうタイプの人にはとんでもない経験を提供できる。それはもう、今は作り手側の人間になった自分としてはCGの世界に役として入り込んで、映像になったものをいつか見てみたいです。絶対に感動して「うわ~っ」ってなると思います。そういうファンタジー映画から映画を好きになった身としては夢です。

――私がこの映画を好きな理由は【ヒック】と【トゥース】の友情関係が育まれていくと同時に、【ヒック】が挑戦し始める姿を通して2人でひとつだから頑張れるというテーマに胸が熱くなるからです。坂東さんにとって“この人が居るから頑張れる”というライバルや仲間はいますか。

いっぱい居ますね、誰かなぁ。やっぱり家族とかもそうだし、寛一郎や(村上)虹郎とか共通言語を持った同世代の俳優は、刺激をもらえます。実は昨日も2人と会っていたのですが、同じような映画に対する価値観、芝居に対する価値観みたいなものがある友達が居るということは、凄く救いです。年々それを感じています。そういう仲間が近くに居て、刺激をくれることで、映画館に映画を観に行くのも楽しみになるじゃないですか。