公開当時、米アカデミー賞やゴールデングローブ賞にノミネートされ、アニメ賞であるアニー賞で10部門受賞という快挙を成し遂げたドリームワークス・アニメーション『ヒックとドラゴン』(2010)。その人気は衰えることを知らず、映画シリーズ、ゲーム、スピンオフTVアニメへと発展、ついには実写映画化が実現しました。監督は原作アニメの監督も務めたディーン・デュボア。ドラゴンが襲って来るバーク島でバイキングの長である父親と暮らす心優しき少年【ヒック】と伝説のドラゴン、ナイト・フューリー【トゥース】との絆を描くドラゴンライド・アドベンチャーは、最新のIMAXカメラで撮影された実写の映像とCGの融合で人間とドラゴンが共存する世界をリアルに映し出していきます。
主人公【ヒック】役は、実写洋画吹き替え初挑戦となる俳優の坂東龍汰さんがオーディションで役を射止めました。映画『君の忘れ方』(2024)やドラマ「ライオンの隠れ家」(2024)など様々なジャンルの作品に出演する坂東龍汰さんに、洋画への憧れや、最高のパートナーと言える俳優仲間についても伺います。

――『ヒックとドラゴン』のアニメをご覧になった時はどんな感想を持たれたのですか。
シンプルに“なんで、もっと早く出会わなかったんだろう”と思いました。小さい頃の僕は“絶対に好き!”って思いました(笑)当時は竜の本を買って持っていたりして、幼心からずっと研究していたんです。竜が登場する作品やドラゴン系が登場する作品はいっぱいありますよね。それらを沢山観てきたのに、“なぜ、『ヒックとドラゴン』は通って来なかったのか?”と悔しかったです。
――それだけドラゴンが好きだった坂東さんが、実写版『ヒックとドラゴン』に声で出演するとは凄いことですよね。実写版もアニメ版と同じディーン・デュボア監督だからこそ、ちゃんと実写化することの意味を分かっていて、ドラゴンライドのシーンはもう最高でした。
確かにあそこはね、最高でしたよね ?! 最初から最後までカット割とかも結構、アニメに忠実ですよね。だから実写版を見終わった後に、実写版とアニメ版を行き来しても面白いだろうなと思いました。
――実写での吹き替えは初めてでしたが、どんなところが一番の挑戦でしたか。
まず、既に録音されている俳優本人の声をなぞるのか?それとも自分の出せる【ヒック】というものを出すのか?どっちを強く感じながらやるのかに悩みながら挑みました。結構、挑戦だったし、やりながら迷いが生まれる瞬間が多々ありました。
アフレコ時の日本語版吹替の音響監督が「ゲーム・オブ・スローンズ」もやられている大ベテランの方だったので、とりあえず “監督のOKとか、監督が言うことを全部信じよう”と思いブースに入りました。僕は声優という仕事に慣れていないし、今回が実写の洋画吹替初挑戦だったので、監督の判断が頼りでした。普段、映像の現場でも自分から「もう一回やらせて下さい」と言うことはしないし、監督が「OK」と言ったら、そこはもう信じようと決めました。
――自分の中で悩んでしまった吹き替えシーンはどこですか。
一番難しかったのは最初のナレーションです。あそこの【ヒック】役のメイソン・テムズさんのお芝居が絶妙なんです。テンションが落ちてもいないし、上がってもいない。普通にバーク島の紹介をしている感じなんですけど、どこかポジティブではないというかちょっと自信がない感じ。あれがやっぱり何回やっても難しくて、何回もやり直しました。





