Sep 04, 2025 interview

吉田羊 インタビュー カズオ・イシグロ原作の“家族と喪失”の物語『遠い山なみの光』

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――羊さんのパートはイギリスのスタッフも沢山いらっしゃいますから、海外の人たちと一緒に映画を作ったような印象を持たれたのではありませんか。

まさにそうです。「長崎編」の現場も拝見していましたので、まったく違う映画を撮っている感じでした。キャストも違いますし、スタッフも違いますし、監督は英語で演出するし (笑) 。でも凄く“いいな”と思ったのは、「イギリス編」でのイギリスのスタッフさん達は、どんなにセクションが違っても、キャリアや年齢に関わらず、相手に何かをしてもらったら、必ず「ありがとう」とおっしゃるんです。それが凄く“いいな”と思っていました。それって当たり前のことなんですけれど、キャリアや年齢などが邪魔をして、素直に言えなくなっている。それは、もったいないことで、“日本もこんなふうであったらいいな”と思いました。

面白いのが役割分担についてです。お仕事の役割分担がそれぞれ明確に線引きされているんです。ということは本当にこの仕事のためだけに、配置されているスタッフさんが居るということです。彼らが担っている仕事を、私が”頼むのが申し訳ないから”という理由で「自分でやりますよ」と言うと、それは彼らの仕事を奪うことになるので、言ってはいけないとされています。どのセクションにもリスペクトを持って、そしてプライドを持って、それぞれが仕事をしているというビジネスの在り方は、見ていて気持ち良かったです。

――海外の人たちとお仕事をされて、次の課題や目標があれば教えて下さい。

そうですね。今回、英語学習というチャンスを頂けたので、引き続き、細々と勉強は続けつつ、いつかまた海外作品とご縁があったら嬉しいなと思っています。願わくば、“また世界三大映画祭 (カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭) に行きたいな”と思っています。