Jun 30, 2025 interview

毎熊克哉 & 北香那 インタビュー 実在の爆破事件を描く話題作に込めた想い『「桐島です」』

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――お二人の言葉を聞いたら自分自身の邪心を清めねばと思いました。心掛けたいです。ちなみに最後に、最近観て忘れられない映画かドラマを教えて下さい。

 インパクトで言うとNetflixドラマ「私のトナカイちゃん」です。たった1杯奢った紅茶をきっかけに、年上の中年女性からストーカー被害にあった男性 (20代後半の売れない芸人) の実話なのですが、凄く衝撃的でした。ただのストーカーの話ではなくって、心理を追求した話なのでとっても面白いんです。是非観て欲しいです。

毎熊 観てみますね。最近ではないのですが『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022) です。僕は3D作品を観ると目が回るので苦手なんですけど、あの作品は3Dの為に制作された作品でもあるので観たんです。僕は元々映画監督に憧れていて、子どもの頃からいろいろなジャンルの作品を観ているのですが『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は普通の娯楽映画として圧倒されました。その圧倒感は子ども心に持っていたものと同じで、子どもの頃に抱いた憧れが消えていないことを再確認することが出来ました。

――『アバター』のような大作にも出演してみたいですか。

毎熊 そうですね。「いつか大きな作品、『アバター』クラスの作品に出演してみたい」という憧れはあります。あの作品に登場するものは、細部までこだわっていて凄く細かく描かれているんです。それらを観ると童心に帰って“最初はこういうメジャー大作映画に憧れていた”ということを思い出したんです。そんな気持ちにさせてくれた映画です。

――北さんはこの先の未来でやってみたいことはありますか。

 「映画をもっとやりたい!」という気持ちがあります。やったことのない役、たとえば多重人格者の役とかは演じ甲斐がありそうで興味があります。混乱はしそうですが、そういう役は逆に役に振り回されそうで楽しそうですよね(笑)。

役への入り方の話があまりに面白くてずっと聞いていたかったお二人のお話し。聞き上手でじっくり考えて話す毎熊克哉さんと、話を振る気遣いもあり言葉選びが独特な北香那さん。そんなタイプの違う二人が劇中で会うエピソードは脚本家の梶原さんがあえて「若い世代にも映画を見て、【桐島】の思いを感じ取って欲しい」と書かれたものだそう。確かに彼がしたことは良くないことでありながら、彼に惹かれてしまうのも「やさしさ」がベースにあるから。映画を見終え、しばらく現代に生きる若者達について私は考えを巡らせていました。

取材・文 / 伊藤さとり
撮影 / 岸豊

作品情報
映画『「桐島です」』

1970年代、高度経済成長の裏で社会不安が渦巻く日本。大学生の桐島聡は反日武装戦線の活動に共鳴し、組織と行動を共にする。しかし、1974年、三菱重工爆破事件で多数の犠牲者を出したことで、深い葛藤に苛まれる。組織は警察当局の捜査によって、壊滅状態に。指名手配された桐島は偽名を使い逃亡、やがて工務店での住み込みの職を得る。ようやく手にした静かな生活の中で、ライブハウスで知り合った歌手キーナの歌「時代遅れ」に心を動かされ、相思相愛となるが‥‥。

監督:高橋伴明  

出演:毎熊克哉、奥野瑛太、北香那、原田喧太、山中聡、影山祐子、テイ龍進、嶺豪一、和田庵、伊藤佳範、宇乃徹、長村航希、海空、安藤瞳、咲耶、趙珉和、松本勝、秋庭賢二、佐藤寿保、ダーティ工藤、白川和子、下元史朗、甲本雅裕、高橋惠子

配給:渋谷プロダクション

©北の丸プロダクション

2025年7月4日(金) 新宿武蔵野館ほかにて公開

公式サイト kirishimadesu

伊藤 さとり

映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。 映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。 自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。 映画コメンテーターとしてCX「めざまし8」、TBSテレビ「ひるおび」での レギュラー映画解説をはじめ、TVやラジオ、WEB番組で映画紹介枠に解説 で呼ばれることも多々。 雑誌やWEBで映画評論、パンフレット寄稿、映画賞審査員、 女性監督にスポットを当てる映画賞の立ち上げもおこなっている。 著書「2分で距離を縮める魔法の話術」(ワニブックス)。 2022年12月16日には最新刊「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」 (KADOKAWA)が発売 。
伊藤さとり公式HP: https://itosatori.net