Jun 30, 2025 interview

毎熊克哉 & 北香那 インタビュー 実在の爆破事件を描く話題作に込めた想い『「桐島です」』

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記憶に新しい2024年1月26日。70年代から連続企業爆破事件で指名手配中だった「東アジア反日武装戦線」のメンバー、桐島聡容疑者が末期癌で入院しているというニュースが日本に衝撃を与えました。名前を変えながら彼はいったいどんな暮らしをしていたのか。ニュースから3日後に亡くなった桐島の半生を『夜明けまでバス停で』 (2022)  の脚本家・梶原阿貴と高橋伴明監督が再びコンビを組み映画化。約50年間の桐島の姿を描くことで、日本の移り変わりと共に彼が大切にしていた感情を綴る青春映画ともとれる作品『「桐島です」』が7月4日に公開されます。今回は、そんな【桐島聡】の20代から70歳までをひとりで演じきった毎熊克哉さんと、彼と出会う歌手【キーナ】を演じた北香那さんにお話を伺います。

――毎熊さんが演じられた【桐島聡】役は、20から70歳までという年月を演じられています。今回のような役はなかなか出会うことがないですよね。

毎熊 そうですね。出会わないですね。3週間の撮影でしたが、この役を演じたから【桐島聡】という人物を理解出来たとは思わないのですが、自分が演じたことで想像力は働きました。実際はどうだったのかは本人にしかわからないことですが、僕は僕でシーンを通して寂しさなどを感じたりしました。

――1970年代から物語はスタートしています。映画から日本の歴史、ファッション、髪型など振り返ることが出来ました。そういう視点も面白かったです。北さんは1990年代のシーンに出演されていますが、どうでしたか。

 私が演じた歌手【キーナ】が登場する時代は、ちょうど私が生まれた時代です。1997年生まれなのですが、役でミサンガを付けたことが凄く印象的でした。

――毎熊さんはどう感じられていたのですか。

毎熊 勝手に時代は過ぎていくという気がしていました。完全な順撮りではなかったので、1日で見た目を変える日も何回かありました。若い頃を演じた後におじいちゃんになるという日もありましたね(笑)。映画の上映時間は105分ですが、時代の長さをきちんと感じてもらえるといいなと思って演じていました。

――1日で年を取られるんですよね。どのように役を切り替えているのですか。

毎熊 他の役を演じている時もそうですが、朝起きて着替えて現場に行って、役のメイクをして、衣装に着替えて現場に入る。それが切り替えのスイッチになっているような気がします。見栄えが変わるので、その姿を鏡で見て、肩の落とし具合を変えてみたりするなど、その見た目に助けられる部分が結構あります。