Jun 17, 2025 interview

原菜乃華インタビュー 怖いけど、笑える。そんな絶妙なバランスが好き『見える子ちゃん』

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もし霊が見えるようになってしまったら‥‥。そんな発想から描かれるちょっと怖くて面白くてじんわり泣ける映画『見える子ちゃん』が6月6日より全国公開。原作は泉朝樹氏による大ヒット漫画。これを実写化したのが、『残穢 【ざんえ】-住んではいけない部屋- 』(2016)から『決算!忠臣蔵』(2019)など、ホラーもコメディも得意とする中村義洋監督です。本作で、突然、霊が見るようになった主人公を演じるのは近年ではドラマ&映画『【推しの子】』(2024)での演技も絶賛された原菜乃華さん。彼女は、ある時はコミカルに、ある時は恐怖に怯えながらも、親友を霊から守るために様々な困難に立ち向かう愛情深い【(四谷)みこ】を、活き活きと演じています。今回はホラー初挑戦となった原菜乃華さんにお話を伺います。

――今回は初のホラーコメディ映画の主演でしたが、本作で一番チャレンジだったことを教えて下さい。

今までは、久間田琳加さん演じる【(百合川)ハナ】のような天真爛漫で明るくて感情が表に出やすいキャラクターを演じることが多かったんです。でも今回、演じた【(四谷)みこ】は対極な性格で感情を表に出さないキャラクターだったので、それが自分の中ではひとつのチャレンジだったと思っています。

――原さんご自身の性格は【ハナ】【みこ】どちらよりですか。

どっちですかね‥‥? 顔には出やすい気がしないでもないのですが、本質的な部分では【みこ】の方が似ている気がします。自分の中では、どちらかと言うと陽の雰囲気ではないと思っているので。だから【みこ】の方が演じやすいのかもしれません。お陰でフラットに演じることが出来た気がします。なので今回は役作りで苦戦することはありませんでしたね。

――作品に入る時は「スイッチをONにしないといけない」と仰る俳優の方もいらっしゃいますが、原さんはどうですか。

今まで演じてきた役は「スイッチをON」にして入ることが常だったんです。でも、今回の【みこ】役は「スイッチを入れない」で演じることが出来たので、逆に変な感じでした (笑) 。ただ、恐怖のお芝居とその恐怖を抑えるお芝居のバランスが凄く難しくて、それに関して中村監督に演出してもらうことが多かったです。

――中でも一番苦戦したシーンはどこですか。

けっこう全部、苦戦していました (笑) 。その中でも「体育館で初めておばけを無視するシーン」は何度もテイクを重ねた記憶があります。最初の方の撮影だったのですが、私の中で“ホラー映画は恐怖の感情をわかりやすく表に出す”というイメージがあって、それに少し囚われすぎていたようで、わかりやすいお芝居をしてしまったんだと思います。その時、中村監督から「【みこ】が見えている景色はお客様も見えている景色だから、そこは信じてもらって大丈夫です」という言葉を頂いたんです。そこからはあまり迷うことなく演じることが出来たのではないかと思っています。

――あのシーン、ちょっとゾワゾワして好きです。あのおじさまの霊はCGですか。

リアルなんです。特殊メイクをされた俳優の方が亡くなった先生を演じていて、撮影後にCGで薄くした感じです。なので撮影時はリアルに存在していたので、霊が見えなくて怖がるという難しさはなかったです。そこは演じやすくて良かったです。生身の方だったお陰で、現場ではあまり怖さを感じませんでした。

――お気に入りのシーンはどこですか。

【ハナ】【みこ】【ユリア】の3人でおばけ屋敷に入るシーンがあるのですが、実はテストを行っていないんです。本番一発で撮影したシーンで「リアルなリアクションを見たい」という中村監督の言葉で、私たちはおばけ屋敷の仕掛けも知らないまま入っています。なので普通に素で楽しんでいる姿が、本編で使用されています。あのシーンはお気に入りですし、3人の仲の良さが伝わるシーンだと思います (笑) 。

――そうだったんですね。そんな時は、役を演じていることを忘れたりしないのですか。

私の場合は、【みこ】半分、自分半分という感じでした (笑) 。