Apr 24, 2025 interview

向井理インタビュー 映画版でもぶれない、孔明と英子の2人を中心とした物語『パリピ孔明 THE MOVIE』

A A
SHARE

人気コミック「パリピ孔明」(原作:四葉タト、漫画:小川亮)がドラマ化されたのは2023年9月。三国志でお馴染みの諸葛孔明が現代に生まれ変わり、アマチュアシンガーの英子の歌声に惹かれ、彼女の軍師となって成功に導いていくサクセスストーリーです。そんな音楽による天下泰平ドラマが遂に映画化。『パリピ孔明 THE MOVIE』では、日本を代表する三大音楽レーベルによるバトルフェスに、孔明の策略で英子も参加することに。今作では孔明の宿敵の子孫まで登場するのです。主演の向井理さんをはじめ、上白石萌歌さんと森山未來さん、ディーン・フジオカさんというオリジナルメンバーの他にも豪華なアーティストが多数登場する音楽の力を楽しむエンターテインメント作品。今回は、【孔明】役の向井理さんにじっくりとお話を伺います。

――ドラマから映画へ『パリピ孔明』で【孔明】役を演じたことで、何か影響はありましたか。

役に引きずられることはありませんが、反響は凄くありました。今まででトップクラスというぐらい多かったですね。やはりタイトルとビジュアルで「とりあえず1回観て見よう」となるくらいのキャッチーな作品でしたので、それで観たら「面白い」という感じだったんだと思います。

――渋江監督は今回の映画も手がけていますが、どんな印象をお持ちですか。

渋江監督は音楽に映像を合わせる編集が凄く上手くて、「パリピ孔明」のドラマの時もわりと長回しが多かったのですが、映像に音がピッタリ合うんです。なので1話を見た時から監督の凄さを感じていました。それは映画でも同じです。気づく人は少ないかもしれませんが、編集力が凄くあるんです。それって仕事をブラッシュアップしていく上では、とても大事なことだと思うんです。いくら撮影したものが良くても“音が合わない”とか“ちょっと違う”と思ってしまうとチグハグに感じてしまいますから。渋江監督の場合は撮影しながら、頭の中で編集がある程度出来上がっているんだと思います。ドラマ撮影時は予定より早く終わる時もありました。普通ならなるべく多く撮って、編集で完パケにしていくんですけど、渋江監督の場合は最初から完パケ状態みたいな撮り方で、それに音を当てていく感じです。プロデューサー的には「もう少し撮って下さい」って思っていたんじゃないですかね(笑)。

――ライブシーンも多い映画なのに、ストーリーもしっかりドラマチック。ライブ映画にならず、ちゃんとドラマ性の高い映画になっていることに感心しました。

この作品は【孔明】と【(月見)英子】の2人を中心とした物語です。【孔明】は知性も含めて大人として成長を遂げた状態で現代に来ているので、基本的に【英子】の成長物語になります。この軸は映画でもブレていません。ドラマでは【英子】が成長していく過程で色々な人と出会い、ライバルも現れて、音楽で戦っていきました。この土台がしっかりとあるので、どんな展開を迎えても、映画として完成出来るという作りになっていました。プロデューサーは本当に音楽が好きで、映画でもすばらしいアーティストの方々にオファーをしているんです。作曲家もそうですが、ドラマ版では幾田りらさんが(英子が歌う)「DREAMER」という曲を作って下さって、実際にご本人もドラマ最終回でちょっと出演して下さいました。アーティストの方たちがしっかりと出演されているので嘘がありません。

――確かに映画もアーティストの方々が豪華でしたが、俳優の皆さんの息の合った演技も楽しかったです。個人的には、森山未來さん演じる【小林】と上白石萌歌さん演じる【英子】と【孔明】の会話シーンが凄く好きでした。

あそこは森山君がひっぱってくれているんです。僕自身はそう思っています。森山君は本当に三国志マニアなんです(笑)。だから朝来るとまずプロデューサーに「この台詞変えてもいいですか?」とか「この状況だと、三国志の時代のあの時の情景と合っているから、誰誰と誰誰をこの人に変更していいですか?」とか伝えるんです。それを聞いたプロデューサーは、超三国志マニアのご自身のお姉さんにすぐに電話をかけて「森山君がこの台詞をこう変えたいと言っているんだけど、合ってる?」と聞いて、「合ってる」と返事をもらえたら台本に自分で台詞の変更を書いていました(笑)。その森山君のエネルギーは、彼が舞台や映画、ドラマで見せているお芝居とは違うベクトルというか、違う森山君のエネルギーを見せてもらっているようでした。そのエネルギーに乗っかっている感じで、僕としては心地良かったです。

僕自身はそんなに三国志に詳しくないし、萌歌さんは演じるキャラクターと同じで三国志を詳しく知らなかったのが良かったと思います。普段と違うギアが入ったエネルギッシュな森山君は、本当に三国志が好きなキャラクターとも合っていたので、見ていて凄く楽しかったです。3人のバランスが良い感じに出来上がっていたと思います。