――面白いですね。私もその気持ちなんとなく分かります。「ドキュメンタリーはポレポレ東中野で観たいな」と思ったりとか。
それこそ吉祥寺バウスシアターに行く時もそうです。自分にとって吉祥寺という街は、吉祥寺バウスシアターに行く入口みたいなものだったんです。吉祥寺に行く時は吉祥寺バウスシアターに行くために行くことが多かったので、駅を降りた時から体験が始まっているんです。それが凄く楽しみでした。
――私の中で染谷さんは映画と対になっている俳優さんの1人です。本作で、サイレント映画からトーキー映画への変化が描かれていたように、今、劇場型から配信映画、3DCGのアニメなど様々な形で映画が変革しています。染谷さんが映画と付き合う上で俳優として大切にしていることはありますか。
自分が演じた【サネオ】は、とても器が大きくて、変化をもの凄く受け入れる人物でした。実際に本田拓夫さん(バウスシアター元館主・原作者)が書かれた「吉祥寺に育てられた映画館イノカン・MEG・バウス吉祥寺っ子映画館三代記」にもそのように描かれています。変化を寛大に受け入れることが出来ることこそ、ある種、自分が好きなものを守ることに繋がるということをこの作品を通して自分は学びました。「映画は、こうでないといけない」と色々なものを否定していくと結局映画は潰れてしまう気がしています。なので、その変化を「面白いじゃん」と一緒に面白がって、ちゃんと受け入れる。受け入れるとは、ただ見守るという意味ではなく、ちゃんと自分の中で消化出来たうえで受け取れることこそが大事な気がしています。変化を楽しみながら映画を観られたら、自分が好きな映画というものをこれまでと変わらず、楽しめ続けられるのではないかと思います。

――俳優として次に楽しみにしていることを教えて下さい。
明日の現場ですかね(笑)。先にある仕事は楽しみです。基本的に自分の力を最大限に発揮出来る場所は、現場くらいしかないですから、現場は好きですし、先に決まっている仕事がやって来るのはドキドキもするけど毎回楽しみです。1つ1つの仕事を大切に、しっかり楽しんでやりたいと思います。まぁ、自分は現場が好きなんだと思います。
映画人と言うと勝手に頭に浮かぶ俳優のひとりが染谷将太さん。それはミニシアター系からメジャー映画まであらゆるジャンルで変幻自在に姿を変えてしまう才能の持ち主だから。いやいや当時18歳で演じた『ヒミズ』(2011) での狂気の瞬間を見せた衝撃のアプローチと、最近の『陰陽師0』(2024) で源博雅をフンワリした愛嬌あるキャラクターとして表現してしまうところも含め、演技者としてやっぱり面白い。時代ものから現代劇まで、はたまた『聖☆おにいさん』のブッダまで演じられるスクリーンが似合う俳優・染谷将太さんが、映画館への愛を時代と共に綴る『BAUS 映画から船出した映画館』。これほどその世界に染まりきれる俳優が何処にいるだろうか。

1927年。活動写真に魅了され、「あした」を夢⾒て⻘森から上京したサネオとハジメは、ひょんなことから吉祥寺初の映画館“井の頭会館”で働き始める。兄・ハジメは活弁⼠、弟・サネオは社⻑として奮闘。劇場のさらなる発展を⽬指す2⼈だったが、戦争の⾜⾳がすぐそこまで迫っていた。
監督:甫木元空
原作:「吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記」(本田拓夫著/文藝春秋企画出版部発行・文藝春秋発売)
脚本:青山真治、甫木元空
出演:染谷将太、峯田和伸、夏帆、渋谷そらじ、伊藤かれん、斉藤陽一郎、川瀬陽太、井手健介、吉岡睦雄、奥野瑛太、黒田大輔、テイ龍進、新井美羽、金田静奈、松田弘子、とよた真帆、光石研、橋本愛、鈴木慶一
配給:コピアポア・フィルム、boid
©本田プロモーションBAUS/boid
公開中
公式サイト bausmovie
