Apr 02, 2025 interview

染谷将太インタビュー この役を演じなければ、自分が一番悔しがるだろうなと思った『BAUS 映画から船出した映画館』

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2014年に惜しまれつつ閉館した吉祥寺バウスシアター。名前を変えながら約90年、映画ファンに愛された吉祥寺の顔の一つであった映画館は、どうやって変化しながら人々を見つめてきたのか。原作(「吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映 画館三代記」(本田拓夫著) を元に故・青山真治監督が映画化を切望し書き連ねた脚本を、映画『はだかのゆめ』(2022)の甫木元空監督が引き継いで完成した本作。青森から上京し、ある出会いから映画館を運営することになる主人公【サネオ】を染谷将太さんが演じ、活弁士として活動する兄【ハジメ】に峯田和伸さん(銀杏BOYZ)、サネオの妻【ハマ】を夏帆さんが演じています。時代の流れに翻弄されながら娯楽を愛し、映画館を守り抜いた男の回顧録をどう演じたのか、主演の染谷将太さんに自身と照らし合わせながら語っていただきました。

――本作『BAUS 映画から船出した映画館』は青山真治さんの遺作となる脚本の1本です。この作品の主演のお話を頂いた時、どのような気持ちでしたか。

最初は、青山さんも吉祥寺バウスシアターに対しても個人的な想い入れが強かったので“もっと客観的に映画を見られる人が演じられた方がいいのではないか?”と思っていました。でも、冷静に考えて、“この役を自分が演じることが出来なければ、自分自身が一番悔しがるだろうな”と思ったんです。それに監督を務めた甫木元 (空) くんがリライトした脚本がしっかり青山さんの脚本に詰まった想いを受け取った上で、甫木元くんらしい作品になっていたんです。それを読んで、“自分も客観的に現場に立つことが出来る”と強く感じることが出来ました。

――青山監督とはまた違うアプローチで 、新鮮で夢心地な気分になりました。音楽が溢れていて、甫木元監督だからこそ、この形になったのだろうと思いました。

そうですね。プログラムに青山さんオリジナルバージョンの脚本が入っているのですが、全然違います。もちろん描いているものは一緒なのですが、形が全然違うんですよね。そこも是非読んで頂けると嬉しいです。それに青山さんが書いた脚本は、まだ映画化されていないものが何冊も眠っているので、もしかしたら今後も映画化されるかもしれませんね。憶測ですが‥‥ (笑)。

――染谷さんは、映画館が好きで、吉祥寺バウスシアターにも行かれていて、青山真治監督とも縁がある方です。本作の中で、特にお気に入りのシーンを一つあげるとしたらどこですか。

鈴木慶一さん演じる【タクオ】の、少年時代のシーンですかね。その役は、僕が演じる【サネオ】の息子なんですが、彼が登場してから【タクオ】少年の目線から切り取られている部分が出て来るんです。あのシークエンスが凄く好きです。子供時代の【タクオ】は、時代も場所もある種、まったく気にせず、劇場だということも気にしていないように思えて、その自由な感情であの場所を只々走っているだけでももの凄くいいんです。

――染谷さんは7歳でデビューでしたが、子役時代の体験で印象に残っていることを教えて下さい。

小学生の頃は、ご飯も食べられなくなるぐらい緊張していました。「セリフをちゃんと言わないといけない」ということと戦っていました。