――大丈夫と自分に言い聞かせながら、上手くいかない人生にもどかしさを感じていた【亜依子】みたいな女性にエールを送るとしたら、どんな言葉を送りますか。
【亜依子】も自分で決断して、未来を切り開いていきます。時には選択肢がなくて、決断しなければならない状況になることが人にはあると思います。何と言ってあげればいいんだろうな‥‥、そうですね、そんな女の子を抱きしめてあげたいです。
「大丈夫、いける」って抱きしめてあげたいし、それと同時に思うことは「それは絶望ではなくって、大人になっても些細なことで傷つくし、大人になってもくだらないと思えることで落ち込むことはある。人生にはそういうこともあるんだよ」と言いたいです。慰めにはならないかもしれませんが、私に言えることはそんな感じです。

――挫けた時は、どのようにして立ち直っているのですか。
本当に傷ついたり、落ち込むことってありますよね。食べて、寝て、友人と話して、外に出る。生活と時間が解決してくれると信じています。特に凄く落ち込んでいる時には、笑わせてくれる友人がありがたいです。LINEひとつで笑わせてくれる友人に救われています。
――今後、どんな女性になっていきたいですか。
難しいですね。私はどんな人になりたいんだろう‥‥、やっと素直になってきた気がするんです。自分がイケてないことも、残念な部分も受け入れられるようになりました。
舞台挨拶でもヘラヘラしてしまって、大人だからもっとビシッとしたいのに、と思うのですが、取り繕った言葉で喋るより、自分の言葉で喋った方がいいと思うんです。そんな自分をちょっとずつですが、肯定できるようになりました。もう少し素直になって、自分自身を受け入れて、自分を認めて、自分を抱きしめていきたいです。
コメディ作品からシリアスな作品まで声がかかる女優・臼田あさ美さん。それは彼女がまとう空気感が持つ不思議な色合いであり、見るともっと知りたいと思わせる存在感があるのではないでしょうか。本作では「しっかりしなきゃ」と自分に言い聞かせるように生きている【亜依子】の表では見せない弱さを、表情や声のトーンで見事なまでにスクリーンに焼き付けていました。“そんな【亜依子】を抱きしめてあげたい”と語った臼田さんの人の心への寄り添い方が素敵だなと思ったインタビュー時間でした。

大学進学と同時に友達と2人暮らしを始めた早乙女カナコ。入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、そのまま付き合うことに。就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる。長津田とも4年の付き合いになるが、このところ口げんかが絶えない。⻑津田は、口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業もする気はなさそう。サークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえある。そんなとき、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。やがて、編集者になる夢を追うカナコは、長津田の生き方とだんだんとすれ違っていく。
監督:矢崎仁司
原作:柚木麻子「早稲女、女、男」(祥伝社文庫刊)
出演:橋本愛、中川大志、山田杏奈、根矢涼香、久保田紗友、平井亜門、吉岡睦雄、 草野康太、臼田あさ美、中村蒼、のん
配給:日活/KDDI
©2015 柚木麻子/祥伝社 ©2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会
2025年3月14日(金) 新宿ピカデリー他全国公開
公式サイト saotomekanako-movie
