――柚木麻子さんの原作小説「早稲女、女、男」の細かな人物描写ですね。
そうですね。やはり脚本だけでは、どうしても人物の感情を細かく描き切れない部分があるので、そこは目線などの演出で表現しています。それによって、ひとりひとり、その時々の感情が繋がっているのだと思います。
――これまで女優という仕事を続けてきて、臼田さん自身が軸にしている、大切にしていることを教えて下さい。
普通の生活をすることです。やっぱり生きていることが全部お芝居の勉強になるというか、本当に普通に人生を生きる。今、私は40歳ですが、40年生きていると思いも寄らないことが本当に起きるし、“こんな気持ちになるんだ”とか、“大人になってもこんなことで傷つくんだ”とか、“今まで見慣れていた絵を綺麗と思うようになるんだ”など、そういう日常が一番大事なのではないかと思います。
――人生で一番転機だと思った出来事は何ですか。
全部繋がっているので、ひとつの出来事でパンッと一気に変わったことは思いあたりません。少なくとも私はそう思っています。でも、子どもを授かって子育てをしていることは、やはり自分ではない人間とこんなにも向き合うとなると、これまでの人生でも中々ないことなので、凄い日々を過ごしていると思っています。
――私も子どもを産み、子育てをしていますが、何となくですが、娘の芯の部分を育てないといけないと思ってしまうんです。そんな気持ちにはなりませんか。
子どもの方が、私よりも自分を持っていると思います。子どもって凄いですよね。シンプルだからこそ、親を引っぱっていくし、一緒にいると私自身の凝り固まった考えとかにも気づかされます。子どもからいつも学んでいます。
――逆に柔軟になってきた感じですか。
そうですね。子育ては面白いですね(笑)。
――私はまだまだ勉強中です。怒ることも出来るようになってしまいました。自分の中で大切にしていることってなんですか。
子どもに対してもそうですが、自分の気持ちをちゃんと知ることです。後回しにしないこと。表に出すかは別にして“今、凄く怒った。凄く悲しくなっちゃった”など、そういう気持ちを麻痺させない、無視しないことが凄く大事だと思っています。そうすれば人にも優しく出来ますし。自分が、今、何を感じているのか?を大切にしたいです。
