Oct 10, 2020 interview

本人の性格は猫より犬?!の 多部未華子が語る、主演作『空に住む』の撮影裏話

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――演じられた直実についてはどう思われましたか?

直実については、どこか普通じゃない子。心の内をあまり人に喋ることもなく、もの凄く頑固な子?そんなイメージで演じていました。

――直実を観ていて、“この空気感を持つ役は多部未華子さんしか演じられない”と思いましたが。

そんなことはないと思います(笑)最近はドラマをやらせていただくことが多くて、ドラマだとほとんどが分かりやすい台詞なんです。会話も読めば分かるし、善悪も普通に分かるので曖昧さがない、伝わりやすいのが一番というか。ドラマはそういう世界で、最近はその世界で生きていたので、出来上がった『空に住む』を観た時は、こういう哲学っぽい表現というか、一回“うーん、どういうことなんだろう?”という曖昧な表現も“あり”なんだと改めて思いました。それが映画の良さでもあるというか。もちろんドラマっぽい分かりやすい映画もありますが、そういった作品以外には久しぶりに出会ったので、この映画に関われて凄く楽しかったです。

――面白いですね。分からない役だけど、演じられるってことですよね。

こういう人も居るんだろうな.・・・という感じ、で演じるというか。(笑)

――それは役者を続ける上で大切なことかもしれませんね。

役について監督や役者同士で話し合うのが好きな役者さんも居ると思います。でも、私はそういう風にやっていくと、辛くて首を絞められたような感じになっちゃうんじゃないかと(笑)そう思うくらいに、私は演技について喋るのがあまり好きではないですね。 

―― “芝居ってさ、嘘の中にいかに本当を作るか”っていう台詞が凄く印凄に残っています。多部さんはこの台詞をどう思いますか?

芝居ってそうですよね、その通りです。

――“嘘の中に本当を作る”という作業を難しいと感じたことはありますか?

毎回難しいです。演じるのは自分と違う人(キャラクター)ですから、毎回難しいと感じながら演じています。でも正解がないというのが、逃げ道になっています。監督がOKと言えばOKだと思えるし、本当に数学みたいに、正解が“これ”っていうのがあったら、多分、私は向いてないと思います。答えがないからこそ“本当ってこういうことかも”というのを、自分の想像の中で作っていくのは楽しいですね。

――映画の中で直実が着ている衣装も素敵でしたが。

お洒落でしたよね。衣装はスタッフの方が全て選んで下さって、すんなりと決まりました。衣装合わせの時から“これって直実っぽくないな….”というのが無くて、しっくりきました。

――演じていて、一番面白かったシーンはどこですか?

どのシーンも面白かったですね。岸井ゆきのさん演じる愛子との病室のシーンも好きでしたし、岸井さんとのシーンは全部面白かったです。あと美村里江さんが演じた叔母・明日子さんとワインを飲みながら“泣けないんだよね”と言うシーンも好きです。

――叔母・明日子役の美村里江さんと喧嘩をするシーンがとても印象的でした。

直実目線で言うと、明日子さんはだんだん面倒くさい存在になっていくんです。直実の、人に対する接し方って共感しているようでしていなくて、してないけれど否定的でもないみたいな感覚なんです。明日子さんに対しても“この人何なんだろう”ってだんだんと面倒な存在になっていく感覚は、私にも分かるんです。明日子さんとのシーンに関しては、理解出来ないと思ったことはなかったですね(笑)

――直実は猫と暮らしていて、性格が似ていると言われていましたが、多部さんは犬と暮らしていますよね?あの感情はどうでしたか?

分かりますね。私は犬を飼っていますが、本当に一心同体というか、“この子が崩れたら私も崩れる”みたいな感覚があります。直実と猫の関係は理解出来るし、本当に唯一無二なので。

――多部さんの性格は犬、それとも猫?

犬!(笑)あまり親しくない人には“猫っぽい”と言われるんですが、私を深く知っている人は凄くかまってちゃんだと知っているから、猫ではないと思います。なので、直実が感じる動物との“一心同体感”って気持ちは凄く分かるけれど、直実と私は全然違う性格のような気がします。