――でも実際の性格は逆なんじゃないかと思って。それが良いと思いました。お陰で俳優それぞれの、違う味が出ていると思いました。藤堂さんはご自身を俳優として例えるなら、どんな言葉で表現できますか。
ご存知の通り、僕は【日向】という名前なんです。だから僕は皆にとってポカポカするような人でありたいと常々、思っています。日向っていわゆる太陽じゃないですか、僕の姿を観た後にポカポカするでもいいですし、太陽が持っている強さみたいなものもあってもいいのでそれを感じて欲しいです。自分のお芝居を観た時に太陽というものを通して感じられる生活感、日々の営みというものを感じてもらえたらいいと僕は思っています。上手く言えないですね、難しいです。
――つまり、日常に存在する普通の人というキャラクターを、安心して見てもらえるというか、親近感を与えられるように演じるということですか。
そうですね。太陽って日照りなど悪い時もありますよね。そういう生活感が出せる俳優になりたいです。
――人間の表裏一体ではありませんが、良いも悪いもすべてにおいて。
僕が目指しているところであり、そうなりたいと思っています。自分の役者像はやっぱり生活の中に基づいていたいと思っているんです。
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――私は藤堂さんの笑顔の裏に秘めた演技も面白いと思っていて、凄く嫌な人という役柄も似合いそうな気がします。
実は丁度、深夜ドラマ「いきなり婚」でモラハラクズ彼氏役を演じています(笑)。初めてのヒール役なんです。最高に叩かれているので、役者冥利に尽きます(笑)。是非、観て欲しいです。
――おぉ、それは間違いなく演じ甲斐がありますね。
クライマックスの長回しは、朝陽の中での忘れられない体験になったという藤堂日向さん。「本来は自分が【彼方】で(萩原)利久が【星野】だと思う」と言っていましたが、それを北村監督も理解した上で、あえてこのキャスティングにしたそうです。多面的だから人は魅力的であり、それでいいんだと肯定する本作には、人生を見失った若者への熱烈なエールが込められていました。“この役はこの人しか演じられない”。藤堂日向さんの【星野】にはこの言葉がピッタリでした。
ヘア&メイク / 佐鳥麻子 スタイリスト:Shinya Tokita
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主人公・彼⽅は、社会の中で生きる内向的な社会⼈。そしてどこか飄々として、それでいて白黒をはっきりさせたがる彼⽅の同僚の星野。星野の選んだ決断に彼⽅の⼈生は⼤きく揺れ動く。「死」の意味を知る時、明⽇の選択は⾃分でできることを知る。
企画、脚本、監督:北村匠海
原案:「世界征服やめた」 不可思議/wonderboy
出演:萩原利久、藤堂日向、井浦新(友情出演)
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©『世界征服やめた』製作委員会
公開中
公式サイト sekaiseifuku_movie
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