Feb 04, 2025 interview

いとうまい子インタビュー 映画で描かれているような日が来ればいいのに‥‥声優初挑戦の『野生の島のロズ』

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――私も大学に行っていないので、いとうさんの行動が私の頭の中ではセンセーショナルでした。“年齢は関係ない”と思いました。

年齢は関係ないです。ただ、いつも私の行く道を遮る人たちが登場するんですよ。例えば「大学に入りたい」と言ったらその時の面接官に「あなたは駄目です」と言われたり、「大学院に行きたい」と言ったら「あなたが作っているものを誰が欲しがるんですか?」と言われたりすることがありました。常に私を挫けさせる言葉を放ってくる人が存在するんです。でも、そのことがあったからこそ、逆に私は反骨精神で「私の人生をあなたに決めて欲しくない」という感じで「私のことは私が決めます。私が辞めたい時に辞めます」と決意していました。そういう意味では、言われれば言われるほどやる、天邪鬼的なところはあったのかもしれません(笑)。

――素敵ですね、いつからその考えを持っていらっしゃるのでしょうか。

多分、小さい頃からだと思います。小学校5年生か6年生の頃に中学校受験をしたんです。その時も私は、別に受かっても受からなくてもどちらでも良かったんですけれど、授業で先生に社会の答案用紙を返される時、確か76点ぐらいだったと思うんですが「こんな点数なら受からないね」と教室の皆の前で言われたんです。その時、「あなたに私が受かる、受からないを決められたくない」と強く思って、そこから頑張って勉強しました。昔から反対されることに対して、頑張ってしまう性格だったのかもしれません。

――確かにそうですね。他人に人生を決められる必要はないですよね。この映画を通して、子ども達にも知ってもらえるといいですね。

辞めてしまうと多分失敗になってしまうんです。私も途中で大学を辞めてしまう選択をしたのなら失敗になっていたと思いますし、ロボットを作るのを途中で止めてしまったなら失敗に終わってしまうと思います。でも最後までやれば失敗にはなりません。ドリームクラッシャーはずっと自分の目の前にやって来るので、それに負けないで欲しいです。皆さんにも“やろうかな?”と思ったことがあったのなら頑張ってもらいたいと思います。

――次にチャレンジしたいことはありますか。

私は先のことをあまり考えない人間で、いつも何となくフンワリと生きている感じなんです。だからあまり考えていないんです。目の前に現れる現象に対して頑張ることが、私の一番の目標なんです。先のことは考えていないかもしれません。それに、自分では思ってもみなかった未来がいつもやって来るんです。例えば大学に入学したら“ロボットをやりたい”と思っていたわけではないのにやることになりました。その時もロボットの道が開いたから「じゃあ、そっちに行こうかな」みたいな感じだったんです。誰かが扉を開けてくれたから、そっちを頑張ろうみたいなところがあります。

今はロボットではなく、抗老化について研究をしているんです。その研究の博士、ドクターを全然取れていないので、論文を書いて取得することが今、直近のチャレンジになります。この道を進むかどうかはこれからですが‥‥。

――かっこいいです。流れに身を任せてつつも、自分を信じて人の言葉による妨害は気にしないということですね。

そうです。あまり先の未来は考えていません。でも、必ず何か扉が開かれているということは、私がやるべきことが目の前にあるということだと思っているので、そこを“頑張ろう”と思って生きています。

「やれないことはない」と言うためには「諦めずに続けること」があるんだと、いとうまい子さんとの会話で再確認した今回のインタビュー。いとうまい子さんは本作を観て涙が止まらなかったとおっしゃっていました。その理由は、頑張っているロズや動物たちの純粋さと、種類の違う動物でも力を合わせることで平和をつかめるというメッセージからもあるのではないでしょうか。あえて絵本のようなタッチを大切にしたアニメーションは、CGなのに温もりがあり、いつまでも心に残る世界観なのでした。

取材・文 / 伊藤さとり
撮影 / 奥野和彦

作品情報
映画『野生の島のロズ』

無人島に漂着した最新型アシスト・ロボットのロズは、キツネのチャッカリとフクロネズミのピンクシッポの協力のもと、雁のひな鳥キラリを育てるうち、心が芽生えはじめる。ロズの優しさに触れ、怪物として彼女を拒絶していた動物たちも、次第に島の“家族”として受け入れていく。いつしか島はロズにとっての“家”となっていくのだった。渡り鳥として巣立っていくキラリを見送り、動物たちと共に厳しい冬を越えた頃、回収ロボットが彼女を探しにやってくる。

監督・脚本:クリス・サンダース

声の出演:ルピタ・ニョンゴ、ペドロ・パスカル、キャサリン・オハラ、ビル・ナイ、キット・コナー、ステファニー・シュウほか

日本語吹替えキャスト:綾瀬はるか、柄本佑、鈴木福、いとうまい子、千葉繁、種﨑敦美、山本高広、滝知史、田中美央、濱﨑司

配給:東宝東和、ギャガ

©2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC.

2025年2月7日(金) 全国ロードショー

公式サイト roz-movie

伊藤 さとり

映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。 映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。 自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。 映画コメンテーターとしてCX「めざまし8」、TBSテレビ「ひるおび」での レギュラー映画解説をはじめ、TVやラジオ、WEB番組で映画紹介枠に解説 で呼ばれることも多々。 雑誌やWEBで映画評論、パンフレット寄稿、映画賞審査員、 女性監督にスポットを当てる映画賞の立ち上げもおこなっている。 著書「2分で距離を縮める魔法の話術」(ワニブックス)。 2022年12月16日には最新刊「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」 (KADOKAWA)が発売 。
伊藤さとり公式HP: https://itosatori.net