――そんな中で、ドラマ「SHOGUN将軍」で真田広之さんと共演されました。ハリウッドでプロデューサー&俳優として活躍されている真田広之さんに刺激をもらったのではないですか。
いや~もう、何と言えばいいのか。超人にしか見えなかったです(笑)。やっぱり真田さんはキャリアが‥‥、5歳ぐらいからやられているんですよね。本当に百戦錬磨というか、色々な経験を積まれて、どんな状況でも実力を発揮出来るようになっているようでした。決して現場の環境のせいにしない、自分のキャパシティですべてを乗り越えて来たんだと思うんです。だからこその余裕というか、それが人間の器からも感じました。どんな状況もすべて受け入れて、要求するよりも自分がその中で能力を発揮する。それをやりつつプロデューサーとして、撮影が無い時も毎日現場にいらっしゃっていましたし、常に周りに気を遣っているんです。
役のイメージから真田さんは、静かで厳しい人かと思っていたのですが、実はとても気さくで皆を気遣って下さる方でした。インタビューで「もう役のことはずっと考えてきたし、プロデューサーとして「SHOGUN将軍」には関わってきたので、役作りは済んでいます。だから着替えたら直ぐに「じゃあ、やろうか」と自然に出来たんです」と言っているのを読んで、驚きました。そのインタビュー内容を知って、“そんなはずはない”と正直思ったんですが(笑)。でもそれぐらい役者としての能力というか、適応力や、演技の引出しを沢山持っている方がプロデューサーもやられている現場に参加でき、大変評価される作品になったことは今も信じられない気持ちです。
――「SHOGUN将軍」という作品を通して、阿部さん自身も世界から知られることになりました。これからのフィールドも広がったと思います。
そうですね。チャンスは増えるのではないかと思っています。かと言って「海外の仕事だけをしよう」という訳ではありません。もちろん『MIRRORLIAR FILMS』もやっていきますし、その時々のタイミングとご縁で仕事が出来たらいいと思っています。
――今は海外と日本の合作も多く作られていますね。
そうですね。合作の作品も「SHOGUN将軍」の後にやらせていただく機会がありました。その作品はフランス、ベルギー、日本との合作だったのですが、とても刺激的な経験でした。
――今後の指針を教えて下さい。
変わらず俳優として、自分を見てくださる方々の為に演じていきたいという想いがベースにあります。日本だから、アメリカだから、フランスだからとか関係なく、自分の中の感覚をしっかり持って、意識することなく色々な人と関わっていけたらいいなと。それが僕の生き方にも繋がっていったら、楽しい未来が待っていると思っています。人との関わりを大切にしたいですね。
阿部進之介さんによると、浅野忠信さんと「SHOGUN将軍」で共演した際に、『MIRRORLIAR FILMS』の話をし、監督をしないかと浅野さんを口説いたそう。物語の主人公であるゾンビ侍は、「SHOGUN将軍」の中で亡くなった侍のその後のストーリーを作ったらどうなるかという発想から生まれたとのこと。まさかの人間によるコマ撮り、そして雪深い秋田県でのロケ、阿部さんは鳥の衣装をつけてホウキにまたがるという前代未聞の撮影は忘れられない思い出になったそうです。
浅野忠信監督作品、箱をめぐる摩訶不思議な冒険譚「男と鳥」。ある屋敷に入り込んだゾンビ侍は、神から「この箱を5分後に届けなさい」と頼まれる。ゾンビ侍が眠気をこらえながらも進んでいくと、そこへ箒に乗った鳥が登場。箱に関心を示し、ゾンビ侍を追いかけ回して、しつこく奪おうとしてくる。やがてゾンビ侍が眠気に負けてしまうと、鳥は箱を盗んで逃走。中に何か良いものが入っているはずだと開けようとするが、箱の蓋は固く、自らゾンビ侍の元へ戻っていく。また箱を持って、目的地がわからずあちこちを彷徨うゾンビ侍。そしてひょんなことから、ゾンビ侍と鳥は大工(板橋駿谷)に作業場での手伝いをさせられることに。またもゾンビ侍がうたた寝をしてしまった隙を見て鳥は箱を狙い、トンカチを落として開けようとする。それでも箱は開かない。動きたがらないゾンビ侍を無理やり鳥は引き連れ、2人は階段にたどり着く。目的地らしき場所に着いた2人を「会えた‥‥やっと持ってきたね」と待ち受けていたのは‥‥。
監督・脚本:浅野忠信
出演:田中一平、阿部進之介、大原海輝、板橋駿谷
配給:アップリンク
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公式サイト films.mirrorliar
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