Nov 23, 2022 interview

戸田恵梨香×永野芽郁インタビュー 『母性』で悩みながら、お互いをフォローしあって生まれた〈母と娘〉の絆

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2人でいるのが当たり前だった半年間

―― 劇中では、はっきり示されませんが、時代背景は1970年代〜80年代のようですが、監督とは時代設定についての話はありましたか?

戸田 時代背景よりは、ルミ子にとっては、お母さんの世界観にハマるっていうことがすごく重要で、大地真央さんのお芝居をどれだけ自分の中に取り込むのか。それから、台本に書かれている会話は、小説の言葉がそのまま反映されているので、会話の言葉じゃないんですよね。それをどう違和感なく表現出来るか。それをちゃんとイメージしながら演じないと成立しないと思いながら演じていました。

永野 私の場合は、メイクさんがこの年代で流行っていたのは、こういうメイクだよとか、こういう衣装がいいかな、みたいなかたちでチームの人たちが研究してこだわりながら作ってくださった印象があります。

―― 戸田さんは、劇中で大きな事件を経験し、12年の歳月を経過した後を演じています。永野さんも長い時間の経過を演じていますが、それぞれ“時間の経過”をどう演じ分けましたか?

戸田 脚本のなかに、たくさんヒントが落ちていたんです。ルミ子は、義母にも愛されたいけど、どうやったら愛してもらえるのかわからなくて、ずっと試行錯誤している。娘も言うことを聞いてくれないまま、自分は何一つ満たされなくなって、心ここにあらずっていう状況なんだっていうことが書かれていたので、意識がはっきり戻ってくる瞬間と、ない瞬間っていうのが差別化できると、その「時間」っていうのが見えてくるのかなと思って演じていました。

永野 はじめは、軸が自分じゃなくてお母さん――ルミ子さんの存在が清佳の軸だと思って過ごしていたのが、少しずつ自我も芽生え、それが出せる場所が増えて、ということだったので、話し方もそうだし、きっとこの人の頭のなかって、こうなっているんだろうなっていうのを差別化して演じようとは思っていました。

―― 最後に共演を振り返って、いかがでしたか?

戸田 『母性』はお互い悩みながら――それは私たちだけじゃなくて、キャストの皆さんが悩みながら、試行錯誤し、切磋琢磨し、撮影が進んでいったので、みんなが柔らかな雰囲気でお互いをフォローしながら進んでいるみたいな感じでした。

永野 だから、今いろんな現場に入っていくなかで、戸田さんが居ないから不安なんです。次も居てください(笑)。

戸田 芽郁ちゃんとは『母性』での苦楽を共にしたので、『ハコヅメ』のときは本当に楽しく演じられました(笑)。去年、半年間ずっと一緒にいたから、2人で居るのが当たり前になっていて。10歳の年の差を全く感じない存在ですね。

取材・文 / 吉田伊知郎
写真 / 岡本英理

作品情報
映画『母性』

女子高生が自ら命を絶った。その真相は不明。事件は、なぜ起きたのか?普通に見えた日常に、静かに刻み込まれた傷跡。愛せない母と、愛されたい娘。同じ時・同じ出来事を回想しているはずなのに、ふたりの話は次第に食い違っていく‥‥母と娘がそれぞれ語るおそるべき「秘密」—2つの告白で事件は180度逆転し、やがて衝撃の結末へ。母性に狂わされたのは母か?娘か?この物語は、すべてを目撃する観客=【あなたの証言】で完成する。

監督:廣木隆一

原作 : 湊かなえ『母性』(新潮文庫刊)

出演:戸田恵梨香、永野芽郁、三浦誠己、中村ゆり、山下リオ、高畑淳子、大地真央

配給:ワーナー・ブラザース映画

©2022映画「母性」製作委員会

公開中

公式サイト bosei-movie.jp