Jun 09, 2017 interview

“サイタマノラッパー”で人気の入江悠監督が、映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』で見せたこだわりとは?

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地方都市で暮らす若者たちの鬱屈した青春をリアルに描いた『SRサイタマノラッパー』劇場版三部作(09年〜12年)でブレイクを果たした入江悠監督。藤原竜也と伊藤英明がダブル主演した『22年目の告白-私が殺人犯です-』では大きく異なる犯罪サスペンスの世界に挑んでみせた。メジャー作品で見せた入江監督のこだわり、演出スタイル、そして“サイタマノラッパー”の今後について尋ねた。

 

──2017年は1月に地元・埼玉を舞台にした映画『ビジランテ』(12月公開予定)を撮影し、2~3月は現在放映中の深夜ドラマ『SRサイタマノラッパー マイクの細道』(テレビ東京系)の東北ロケ、4月7日には同ドラマに主演したSHO-GUNGの川崎クラブチッタでのライブ、そして『22年目の告白』の劇場公開、とハードスケジュールが続いていますね。

映画の企画って、なかなか思い通りに進まなくて、それで今年になって重なってしまったんです。でも、『22年目の告白-私が殺人犯です-』はかなり前から動いていました。今朝メールを遡ってみたら、2014年から『22年目の告白-私が殺人犯です-』の脚本づくりに加わっていました。

──連続殺人犯が時効成立後に名乗り出て、告白本を出版してマスコミを巻き込みながら時代の寵児になっていく―。映画『殺人の告白』(12年)の設定を元に、日本にあわせて大胆な脚色を加えて製作されたわけですが、オリジナルが傑作だっただけに監督をオファーされた際は躊躇しませんでしたか?

確かに韓国映画は復讐ものや犯罪もののレベルが高いですよね。『殺人の告白』は日本での劇場公開時(2013年)にシネマート新宿で観たんです。中盤のプロットの意外性、大どんでん返しには、衝撃を受けました。これは日本でさらにブラッシュアップすれば、もっと面白いものになるなと感じたんです。『殺人の告白』のクライマックスはアクション中心になっていく。その頃はスパイアクションもの『ジョーカー・ゲーム』(15年)を撮り終わっていた時期だったこともあって、日本でこのままリメイクすることは難しいなと。どうすれば日本を舞台にして面白いものになるかを考えていたら、オファーが届いたわけです。プロットはとても面白いので、そこをうまく生かせば、絶対に面白いものになるなと思いましたね。

 

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1995年に時代設定したことで生まれたリアリズム

 

──しかし、日本では2010年に死刑級の重犯罪は時効なしと時効法が改正され、韓国版のプロットをそのまま使うことはできなかった。結果として、日本版ならではのオリジナル色が出ることに。

時効に関することは共同脚本家の平田研也さんがいろいろと調べてくれていたので、そういった時効に関する枷(かせ)を逆にうまく活用すれば面白くなるなと思いました。それで連続殺人事件が起きたのは時効法が改正された2010年の15年前にあたる1995年で、時効法が適用される直前に事件が起きた……という設定になったんです。これは今回の大きな発明だったと思います。最近だと少年犯罪や少年法を扱った犯罪ミステリーがありましたけど、松本清張ばりに時効をモチーフにしたサスペンスが今の日本で撮れたことがすごく面白かったですね。

──1995年は、日本において特別な1年です。

そうです。阪神淡路大震災が起きた年でもあり、地下鉄サリン事件が起きた年でもある。僕は1979年生まれですが、自分の青春時代にとても影響を与えた出来事でした。戦後の日本社会においても、重要な年だったと思います。今回の『22年目の告白-私が殺人犯です-』は1994年でも、1996年でもなく、1995年であることが重要でした。自分の中で、あの年をもう一度きちんと見つめ直してみたいという気持ちがありました。

──阪神大震災後に起きた連続殺人事件ということで、「神戸児童連続殺傷事件」を多くの観客は連想します。殺人犯が告白本を出版してベストセラーになるという展開は韓国のオリジナル版からあったものですが、フィクションと現実がシンクロする不気味さがあります。

脚本づくりを進めていた2015年に、元少年Aが書いた手記が出版され、大変な騒ぎになったんです。でも、調べてみると15年間にわたって逃走を続け、時効成立寸前に逮捕された福田和子も獄中手記を書いていますし、犯罪者が書いた本はこれまでにもかなりあるんです。フィクションドラマとはいえ、これはきちんとリアリティーを追求しないとダメだと思い、ずいぶん調べました。犯罪者が本を出すことの是非はお客さんの判断に委ねることになりますが、近年の犯罪はSNSで情報がひとり歩きしたり、炎上したり、劇場化する傾向が強まっている。登場キャラクターたちを魅力的に描くことに加え、そういった劇場型犯罪を助長する現代社会そのものも描きたいと思ったんです。

 

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