これまで多くの映画やドラマに出演し、静かに、ゆっくりとその存在感を残し、ついに世代を超えて大ブレイクを果たそうとしている俳優がいる。ドラマ「初めて恋をした日に読む話」で“無敵ピンク”のゆりゆりこと由利匡平を演じる横浜流星だ。端正なビジュアルと演技力を兼ね備える“正統派俳優”が大きな快進撃を続けている。3月21日(木・祝)公開の『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』をはじめ、出演映画が続々と控えている彼のこれまでの出演作品を辿りつつ、その魅力を分析していきたい。
3人で同居生活!『L・DK』では“不器用で愛すべき存在”を熱演
渡辺あゆが手掛けた少女コミックが原作の映画『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』。2014年に山﨑賢人と剛力彩芽で実写映画化、“壁ドン”を誕生させ、胸キュン映画ブームの火付け役となった伝説的な映画『L・DK』から5年を経て、キャストを一新し、再び映画化が実現した。
この映画で、横浜流星はバイリンガルの帰国子女かつ成績優秀の超絶イケメン・玲苑を熱演。杉野遥亮演じる従兄弟・柊聖と彼女である葵(上白石萌音)と3人で同居生活を始め、次第に葵に惹かれていく玲苑の姿は、作品が進むほどに第一印象の“イヤな奴”から“不器用で愛すべき存在”へと変化。横暴で自信満々な登場シーンから、徐々に素直になり、葵を尊重しようとしたり、ライバルである柊聖の煮え切らない態度に思わず橋渡しをしたりと、感情のまま突っ走りながらも、好きな人を一番に考えて行動する姿に、葵の肩を掴んで「玲苑にしなよ!」と説得したくなるほど。“噛ませ犬役”として200点の動きを見せる本作は、憂いのある繊細な表情をよく見せてくれる彼だからこそ演じられたもの。映画が終わった後、確実に脳内で柊聖派vs玲苑派の闘いが勃発するはず。
本作では、壁ドン、持ち上げドン、お姫様抱っこに、シャワー上がりの半裸姿と、数分に1度は訪れる胸キュンポイント大放出。かと思えば、しっかり泣かせる物語の展開はさすが。中高生はもちろん、「胸キュン映画はちょっと…」と思う大人にも観てもらいたい、最高の癒し作品になっている。
特撮からドラマ&映画への出演、CDデビューと多彩に活動
そんな彼が、数々の若手俳優をブレイクに導いた特撮作品出身の一人だということは、あまり知られていない。「仮面ライダーフォーゼ」(12年)で初のTVドラマに出演し、志尊淳も出演した「烈車戦隊トッキュウジャー」にヒカリ/トッキュウ4号として出演。この作品では、中学3年生の時に世界大会で優勝したという、彼の特技の極真空手を題材としたエピソードも作られるなど、スタッフから愛される一面も。
その後、『オオカミ少女と黒王子』(16年)や『全員、片想い「イブの贈り物」』(16年)などに出演して経験を積み、2017年の映画『キセキ ―あの日のソビト―』でメインキャストに抜擢。菅田将暉や成田凌、杉野遥亮とともに“グリーンボーイズ”として歌声を披露し、グリーンボーイズ名義でCDデビューも果たしている。
実はこの映画の歌声を聴いたレコード会社のスタッフが彼の歌声に可能性を感じ、「CDデビューをしないか」と熱烈オファー。『キセキ』で松坂桃李が演じた主人公・ジンのモデルで、GReeeeNプロデューサーであるJINのもと、「今日もいい天気 feat. Rover(ベリーグッドマン)」でCDデビューを果たしている。当時、ファンの中で“雨男”として有名だった彼が、このタイトルでデビューしたことも話題となった。