ビートルズを題材にした映画
音楽ファンから熱烈に愛されてきたビートルズだが、映画との関わりも決して浅くない。先述の『ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!』など数本の主演作を残したのは改めて説明するまでもないだろう。また、彼らのドキュメンタリーや、その人生を題材にした伝記ドラマ、そして『イエスタデイ』のようにビートルズが重要な“アイテム”として機能する作品もある。最後に、そんな作品をいくつか紹介していこう。
まずは伝記ドラマから。ビートルズのデビュー前に脱退し、直後に脳腫瘍で急逝した5人目のビートルズ、スチュアート・サトクリフの短い人生にスポットを当てた『バックビート』は、成功前の秘話として興味深い内容となっている。サトクリフの恋人だった写真家アストリッド・キルヒャーは、初期ビートルズのトレードマークとなったマッシュルームカットを推奨した人物だ。また、同作でジョン・レノンを演じたイアン・ハートは、別の映画『僕たちの時間』(91年)でもレノンを演じた。こちらはビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインとレノンの同性愛的な関係を描いたもので、美しいモノクロの映像が印象的な佳作。レノンの伝記映画では、ハイスクールの反逆児だった時代にスポットを当てた『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』も切ない青春ドラマで印象深い。
ビートルズをアイテムとして活かした作品も少なくないが、ここではメジャーな作品をいくつか挙げておく。ビートルズに会いたい一心で旅をする女の子たちの奮闘を描いたコメディ『抱きしめたい』(78年)は、後に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズで大ヒットを飛ばすロバート・ゼメキス監督のデビュー作。また、ショーン・ペンがアカデミー主演男優賞にノミネートされた『I am Sam アイ・アム・サム』(01年)は、ビートルズの大ファンで知的障害を持つサムが、子育てに奮闘するハートウォーミングなドラマで、全編にカバーバージョンによるビートルズソングが配されていた。ビートルズの楽曲尽くしといえば、彼らのナンバーをミュージカルとして活かした『アクロス・ザ・ユニバース』(07年)も忘れるべきではない。
ビートルズが映画のモチーフとして頻繁に取り上げられる理由は、端的に言うならいろいろな意味で“華があった”から。彼らは大スターであり、優れたタレントであり、何より卓越したソングライター&パフォーマーであった。その一端に触れるという意味でも、『イエスタデイ』は見逃せない作品だ。
文/相馬学
ジャックは、イギリスの小さな海辺の町に住む、悩めるシンガーソングライター。幼なじみで親友のエリーから献身的に支えられているもののまったく売れず、音楽で有名になりたいという夢に限界を感じていた。そんな時、世界規模で瞬間的な停電が起こり、彼は交通事故に遭う。昏睡状態から目を覚ますと、この世には史上もっとも有名なバンド、ザ・ビートルズが存在していなかったことになっていることに気づく。“イエスタデイ(昨日)”まで、地球上の誰もがザ・ビートルズを知っていた。しかし今日、彼らの名曲を覚えているのは世界で一人、ジャックだけ。ジャックは突然、信じられない不思議な世界に身を置くことに…。
監督:ダニー・ボイル
脚本:リチャード・カーティス
製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、マット・ウィルキンソン、バーニー・ベルロー、リチャード・カーティス、ダニー・ボイル
製作総指揮:ニック・エンジェル、リー・ブレイザー
出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、ケイト・マッキノン、エド・シーラン(本人役)
配給:東宝東和
公開中
©Universal Pictures
公式サイト:https://yesterdaymovie.jp/
DVD:1429円(税抜)
発売中
NBCユニバーサル・エンターテイメント
©1994 Universal Studios. All Rights Reserved.
※2019年10月の情報です。
Blu-ray:2000円(税抜) DVD:1143円(税抜)
発売中
ギャガ
© 2009 Lennon Films Limited Channel Four Television Corporation and UK Film Council. All Rights Reserved.
Blu-ray:1886円(税抜) DVD:1429円(税抜)
発売中
NBCユニバーサル・エンターテイメント
Motion Picture ©2007 Revolution Studios Distribution Company, LLC. All Rights Reserved.
※2019年10月の情報です。