May 29, 2018 column

唯一無二の存在感! 俳優・山田孝之の魅力と愛される理由を分析する

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2004年に公開された同名ハリウッド映画のリメイク『50回目のファーストキス』(6月1日公開)で、久々にラブストーリーに出演する山田孝之。最近は個性的な作品や役が続いていたものの、やっぱり二枚目ぶりは健在!来年デビュー20年を迎える彼のこれまでの軌跡を振り返りつつ、ユニークな仕事ぶりを紹介する。

 

キラキラ正統派イケメン俳優から、変幻自在のカメレオン俳優へ

 

デビュー当時は正統派若手イケメン俳優として、ゴールデンタイムの青春ドラマの主人公としてキラキラしていた山田孝之。いやもちろん今だって正統派イケメンだ。スッとした鼻筋、クッキリとした瞳、キリッとした眉。美形だ。男前だ。しかしいつの頃からか日本人にしては濃い髭と濃い胸毛を隠さず、ワイルドなキャラクターやアクの強い個性的な役を積極的に演じるにようになり、同世代の“若手イケメン俳優”とは明らかに一線を画した存在に。現在はカメレオン俳優として映画やドラマや舞台というさまざまなフィールドの中で実に自由に楽しそうに変幻自在を極めている。ちなみにこの原稿を書いている時点で、メディアで伝えられた彼の最新のお仕事は「ふんわりルームブラ」のイベントで、300人弱の女性のバストを測定したこと。月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」第5話(5月7日放送)に“仕事を選ばない男”ジョージ松原としてチョイ役ゲスト出演した時もそうだったが、SNSなどで「山田孝之、仕事選んでw」と話題になるなど、多くの人にそのユニークで唯一な仕事ぶりが愛されている。

 

最新作はコミカルで切ない直球のラブストーリー!長澤まさみとのコンビネーションも抜群

 

『50回目のファーストキス』(2018年6月1日公開) ©2018 『50回目のファーストキス』製作委員会

 

そんな彼が久しぶりにストレートなラブストーリー『50回目のファーストキス』に出演し、久しぶりにストレートなロマンティック&かっこいい魅力を発揮している。事故のせいで1日しか記憶が保てない障害をもつヒロイン・瑠衣(長澤まさみ)に一目ボレし、毎日あの手この手でアプローチを続ける主人公・大輔。時に正攻法に、時にコミカルに。一途で懸命な姿が切なくも笑え、一生に一度の恋を前に途方に暮れて涙する大輔に胸が締め付けられる。特に浜辺でムロツヨシに“運命のひとり”と出会う確率について天文学を研究している大輔らしく、とうとうと語るシーンは印象的だ。

 

『50回目のファーストキス』(2018年6月1日公開) ©2018 『50回目のファーストキス』製作委員会

 

長澤まさみとは『そのときは彼によろしく』(07年)以来のガッツリ共演となったが(昨年のドキュメントドラマ「山田孝之のカンヌ映画祭」でチラリ共演はあった)、二人のコンビネーションも抜群。山田孝之も長澤まさみも主演としての華がある中堅の実力派。コメディセンスもあるのでコミカルなシーンも安定感抜群。初々しさと甘酸っぱさを感じさせるラブラブな雰囲気も二人だからこそ出せたのかと思わされ、オリジナル版のアダム・サンドラー&ドリュー・バリモアにも負けないお似合い具合。長澤主演の「コンフィデンスマンJP」での遊び心あふれるゲスト出演も本作がきっかけになったのかも?

本作のメガホンを執ったのは独特の世界観で人気の福田雄一監督。山田、ムロ、佐藤二朗という福田組常連のメンツ勢ぞろいの中、おふざけの少ない(特に佐藤は福田組ならではの自由すぎる演技を完全封印)感動的なラブストーリーという意外性も良い。

 

盟友・福田雄一との出会い、ユルすぎる代表作「勇者ヨシヒコ」シリーズ

 

山田孝之が初めて福田雄一監督作品に出演したのは映画『大洗にも星はふるなり』(09年)だったと思う。クリスマスイヴの海の家で男7人が魅惑のヒロインを巡ってバトルを繰り広げる密室劇で、彼は驚愕のトンデモ変貌を遂げるキャラクターを実に楽しそうに怪演していた。以後、映画『俺はまだ本気出してないだけ』(13年)や『銀魂』(17年/声の出演)、舞台『フル・モンティ』など多くの作品で福田監督とタッグを組んでいるが、中でも代表作のひとつになっているドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ(11・12・16年)は特筆すべきだろう。当初から福田監督は山田孝之のキャスティングを希望していたものの、テレビ東京の深夜枠ドラマに売れっ子である彼は出てくれないのではないかと考え、事務所を通さずに直接メールでオファーするという“禁じ手”を使う。すると数分後には「やりたい仕事であれば局や放送時間は関係ないので詳しい話を聞かせてください」と男気溢れる返信が来て、無事に出演が実現。山田、ムロ、佐藤という福田組常連の彼らのシュールかつユルいやり取りがクセになる『ドラゴンクエスト』“風”冒険譚は、今や3作まで制作され、豪華俳優がゲスト出演して話題になるなど、高い人気を誇っている。