Netflixが誇る人気シリーズのひとつ「ウェンズデー」のシーズン2が、ついに8月6日に全世界配信された。もちろん新シーズンは、シーズン1を観ていなくても十分楽しめる内容だが、前シーズンを振り返ると、さらに楽しめることは否定できない。すでにシーズン3の制作が決定しているNetflixの目玉タイトル、これを機にシーズン1、シーズン2の魅力をここにまとめて解説する。
【シーズン1】 クセが強めな美少女にみんなが夢中
Netflixシリーズ「ウェンズデー」は、コミックから派生し映画・アニメ・テレビドラマ・ミュージカル化もされてきた世界的人気作「アダムス・ファミリー」に登場する、長女ウェンズデーを主人公に迎えたドラマシリーズだ。Netflixによると、「ウェンズデー」は配信開始1週間で3億4120万時間の総再生時間を達成。英語ドラマとして「ストレンジャー・シングス」を超えて最高記録を樹立した。

ベースとなったテレビ版・映画版の「アダムス・ファミリー」は、“不幸・邪悪・不気味”が大好きなお化け一家が繰り広げるホラーコメディだったが、本シリーズでは、ティーンになったウェンズデーが、人狼、セイレーン、ヴァンパイア、ゴルゴンなど、のけ者たちが集まるネヴァーモア学園での奇妙な学生生活を送る中で展開する、異色の推理ミステリーとなっている。

主人公ウェンズデーは、冷酷、陰湿、無口、危険、皮肉屋‥‥とブラックさが満載。
「幼稚でありきたりな青春群像劇に参加する気はない」「悲鳴を聞いても邪魔しないで。楽しんでるだけだから」と言い放つ彼女は、性格に難ありだが非常に優秀で圧倒的カリスマ性を誇る大人気キャラ。トレードマークは黒髪おさげに白襟のワンピース、そして不機嫌そうな表情。
既に日本でも、SNSを中心に「みんなキャラが立ってて最高だし何よりウェンズデーがかわいい」など話題沸騰中で、ウェンズデーのコスプレをした投稿や、演じたジェナ・オルテガの人気も高まっている。
90年代の映画版『アダムス・ファミリー』で、ウェンズデーを演じ、一躍人気者となったクリスティーナ・リッチが、本シリーズでネヴァーモア学園の植物学教師で寮母のマリリン・ソーンヒル役を演じているのもファンにはたまらない。

監督・製作総指揮を務めたのは鬼才ティム・バートン。彼は、「私と似た視点を持つウェンズデーが好きだ」とウェンズデーとのシンパシーを打ち明けている。さらに、「誇張されつつも写実的な世界観を作りたくて、学校・セラピー・両親などの要素を使った。私にとって重要だった」と世界を構築するうえでのこだわりも明かしている。

ウェンズデー役のジェナ・オルテガは、「ティムはとても細かい点に気を配る。構図やカメラのレンズにこだわった。広角で歪むのを好む」、ウェンズデーの母モーティシア役のキャサリン・ゼタ=ジョーンズも、「ティムは独創的で変わった映像の中にキャラクターの本当の姿を描く。そして真実味のない世界を本物のように感じさせる」と語ったそうだ。
彼女たちが言うように、シリーズ全体がどっぷりティム・バートン色に染められている。そしてそれが観ていてとても相性がいい。シーズン2もNetflixで配信されることが決まった「ウェンズデー」。ティム・バートン作品が好きなら絶対に観るべき作品だ。
【シーズン2】さらに皮肉たっぷり 情報盛りだくさんの第一部
「ウェンズデー」シーズン2は、この8月6日に配信されたパート1と2025年9月3日に配信予定のパート2と、全8話を前半と後半に分けた二部構成となる。
新シーズンでもネヴァーモア学園を舞台に、ウェンズデーが謎を解き明かしながら新たな敵と厄災に立ち向かう。前シーズンは、集まった仲間、恋愛要素と、いわゆる学園モノの色合いが強かったように思える。このシーズン2ももちろん、学校イベントをベースに、ウェンズデーが巻き込まれる奇妙な謎、アダムス・ファミリーの過去、それぞれの母と子の確執、それぞれの愛が描かれる。
シーズン2は、ウェンズデーは学園を救ったヒーロー、超絶人気者として新学期を迎える。あまりの人気っぷりにストーカー被害にも‥‥。そんな中、人間がカラスに襲われ、食い殺される事件が発生する。物に触れることで残留思念を読み取るサイコメトリー能力、未来を断片的に覗くことができる幻視能力といった超能力を駆使し、事件の謎を究明していくウェンズデー。その中で、ルームメイトのイーニッドが死ぬ未来を見てしまう。さらに能力を発揮する際に起こす発作中に、彼女の目からは黒い涙が流れる。黒い涙が示す真実とは一体何か? そして前シーズンからの因縁、初恋相手のタイラーとは、どう関わっていくのか?
イーニッドをはじめ、ビアンカ、エイジャックス、ユージーンと学園の仲間たちはもちろん、アダムス・ファミリーの面々も今シーズンも続投。そして今回、弟のパグズリーがネヴァーモア学園に入学。物語の良きトラブルメーカーとして活躍する。
また新たなレギュラーキャストに、ネヴァーモア学園の生徒役にイーヴィー・テンプルトン、ノア・B・テイラー、ネヴァーモア学園の音楽教師カプリ役にビリー・バイパー。そして、ネヴァーモア学園新校長バリー・ドート役をスティーブ・ブシェミが演じる。人との共生ではなく、のけ者たちの自立・独立を謳う、陽キャな新校長は、いかにも一筋縄で行かなそうな人物。何よりスティーブ・ブシェミが、そんな甘っちょろい感じで終わるわけない!という期待感が物語にスパイスを与える。
かといって、怪しげな人物は新校長だけではなく複数存在する。誰が黒幕なのか‥‥と視聴者に推理させる見事な脚本は今シーズンも健在。一話一話が盛りだくさんの情報量ながら、非常にテンポがよく、なんてことないと思われた描写がリズムよく次の展開に繋がる様は、本当に見事だ。

今シーズンのティム・バートン監督は、皮肉たっぷりで、気合い入りまくりだ。ちょっとした回想シーンでも、一目で彼の世界観とわかるストップモーション・アニメを制作したり、観る者をワクワクさせる。
シーズン1では、映画『アダムス・ファミリー』でウェンズデー役を演じたクリスティーナ・リッチが、寮母のマリリン・ソーンヒル役で出演し話題を呼んだ。シーズン2では、映画『アダムス・ファミリー』でウェンズデーの叔父フェスター・アダムスを演じていたクリストファー・ロイドが出演。そんな出演の仕方をするなんて‥‥。

サプライズはそれだけに留まらない。ゲスト出演の面々の豪華さと、その逆説的な配役の妙が映画ファンを魅了する。『シックス・センス』でお馴染みハーレイ・ジョエル・オスメントに、『スター・ウォーズ』シリーズで2代目チューバッカを演じている、ヨーナス・スオタモにあんな役を演じさせ、『スクリーム』シリーズ、『ホステル』シリーズなどホラー映画作品に多数出演するヘザー・マタラッツオが、期待通りの顔を見せてくれる。
前後半の二部構成とは思えない展開と圧倒的なエンタメ成分量を誇るシーズン2パート1。全4話駆け足で観ることをおすすめする。
文 / otocoto編集部

Netflixで“歴代最も視聴された英語シリーズ”に君臨する世界的大ヒットシリーズのセカンドシーズン。
監督・製作総指揮:ティム・バートン
出演:ジェナ・オルテガ、エマ・マイヤーズ、ハンター・ドゥーハン、ルイス・ガスマン、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アイザック・オルドネス、スティーヴ・ブシェミ、クリストファー・ロイド
パート1:配信中
パート2:2025年9月3日(水) 世界独占配信