深き愛ゆえのファンムービー
実写版『ボルテスV レガシー』を手掛けたマーク A. レイエス V監督は、フィリピンでの「ボルテスV」人気をこう紐解く。
「政府が放送禁止にしたことにより、曰く付きのシリーズになった『ボルテスV』は、国民たちにとってミステリアスな存在になりました。インスパイアされたアーティストたちにとって『ボルテスV』を圧政に立ち向かう民主主義の象徴にもなりました」
「『ボルテスV』は家族の物語です。フィリピンは家族を大事にする国なので、社会の価値観と親和性が高かったんです」
それでも、個人的には、なぜ「ボルテスV」だったのかは、はっきりとした答えが出ない。
単に合体シーンがカッコよかっただけではないか? そんな気さえしてくる。
「レッツ ボルトイン!」の掛け声で、始まる合体のシークエンス。公開中の映画『ボルテスV レガシー』では、アニメ「超電磁マシーン ボルテスV」のカット割そのままに精密なCGで描き出されている。
2次元を3次元にする難しさを乗り越えつつ、原作をアレンジしない。ここに、スタッフみんながファンであるという制作陣の愛とリスペクトが詰まっている。劇中2回ある合体シーンを観るだけでも、本作鑑賞の価値がある。
劇場版公開後には、フィリピンで放送された90話を全20話へ大胆に再編集した、実写テレビシリーズ『ボルテスV レガシー』“超電磁リスペクトTV版”が、11月12日~4月1日の間、毎週火曜 20時からTOKYO MXにて放送が控えている。
昭和生まれのロボットアニメが、フィリピンで育ち、故郷の日本に凱旋帰国した。アジアのクリエイターたちの多くが、日本のアニメ・特撮の影響を受け、独自の進化を見せている昨今。海外作品に込められた日本愛をどう観るか? クールジャパンに住むロボット好き、アニメ好きの方々に本作をしっかりと受け止めてほしい。
文 / 小倉靖史
ある日地球は“ボアザン星”からやってきたプリンス・ザルドス率いる 軍隊からの攻撃を受ける。通常の兵器が全く通じない中、スティーヴ、ビッグ・バート、リトル・ジョンのアームストロング3兄弟とマーク・ゴードン、ジェイミー・ロビンソンの5人は、密かに製造されていた5機のマシンに乗り込み戦いに挑む。敵側は勝利を確実なものとするため、より強大な獣型ロボット“ビースト・ファイター”を繰り出してきた。5人はそれに対抗するため「レッツ・ボルトイン!」のかけ声とともにマシンを合体させ、巨大な人型ロボット“ボルテスV”となる。果たしてボルテス・チームの5人は、地球を守ることができるのか。
監督:マーク A. レイエス V
出演:ミゲル・タンフェリックス、ラドソン・フローレス、マット・ロザノ、ラファエル・ランディコ、イザベル・オルテガ、マーティン・デル・ロザリオ、リーゼル・ロペス、カルロ・ゴンザレス、エピ・クウィゾン、アルバート・マルティネス、ガビー・エイゲンマン、デニス・トリロ、カーラ・アベラナ
日本配給:東映
©TOEI Co. Ltd, Telesuccess All Rights Reserved
劇場公開中
公式サイト voltes-v-legacy