Jul 09, 2019 column

ディズニーとアニメーションの歴史を変えた『トイ・ストーリー』の映像革命

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フルCGアニメの隆盛と2Dアニメの衰退

『トイ・ストーリー』のヒットを受け、大手映画会社はこぞってフルCGアニメの製作を開始する。そんな中、このムーブメントに乗り遅れたのが、他ならぬディズニーだった。『トイ・ストーリー』もディズニー作品なので変な話だと思うかもしれないが、当時、ピクサーはあくまで外部の制作会社。ディズニーはピクサー作品の世界配給とコスト負担という役割であり、何よりディズニーには長い歴史を持つ自社スタジオ、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオがある。“プリンセスとミュージカル”で常に時代をリードしてきた老舗だが、90年代後半からのフルCGへの転換に乗り遅れ、ようやく発表したのが2005年の『チキン・リトル』。『トイ・ストーリー』から数えて、実に10年を要している。もちろん同じディズニー配給作品として、ピクサーとのすみ分けの必要もあっただろうが、ヒット作にも恵まれず、2Dアニメそのものが時代に取り残されていた印象は否めなかった。その間も、ピクサーは1999年の『トイ・ストーリー2』の大ヒットに続いて、『モンスターズ・インク』(01年)や『ファインディング・ニモ』(03年)など良質な作品を次々と公開。ピクサー関連の売り上げは、ディズニー全体の売上の半分を占めるまでになっていた。

『トイ・ストーリー2』(発売中) © 2019 Disney/Pixar

ピクサーの買収とディズニーのさらなる黄金期

そんな中、ピクサーとディズニーの関係に亀裂が入る。1997年にピクサーとディズニーは、今後5作品の劇場映画の収益を均等に分ける契約を結んでいた。そして大ヒットした『トイ・ストーリー2』(99年)は、最初はビデオ用作品として製作がスタートし、途中で劇場用映画に変更されたという経緯があった。ピクサーは同作をその5作品に該当させるよう要求したが、ディズニーは応じなかった。これを機に、ピクサーはディズニーからの独立を望むようになり、過去作の著作権や、配給費用を除いたすべての興行収入をピクサーの収入とするよう要求する。そしてディズニーがこれを拒否したことで、両者の関係は終わったかに思われた。しかし、稼ぎ頭のピクサーを手放すべきではないと株主が反発。そして2006年、ついにディズニーがピクサーを74億ドルで買収したのだった。これによってキャットマルはディズニーアニメーション全体のトップに就任、ラセターはピクサー及び老舗ディズニー・スタジオ両方のクリエイティブ責任者となり、2人はディズニーアニメーション全体の実権を握ることになったのだった。これ以降、シリーズ最大のヒットとなった『トイ・ストーリー3』(10年)をはじめ、アニメ史上最大の予算を投入した『塔の上のラプンツェル』(10年)による老舗の復権など、現在に至るまでのディズニーアニメーションの世界的隆盛はご存知の通りである。

『トイ・ストーリー3』(発売中) © 2019 Disney/Pixar

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