我々は監視されている
『ザ・ウォッチャーズ』は、北米では『The Watchers』、英国・アイルランドでは『The Watched』と題されている。タイトルからして我々に問いかけている。果たして私たちは誰かに監視されているのか、それとも監視する側なのか。観る者が観られる者になる、それが本作の最大のテーマだ。
映画『オールド』のDVD特典映像に収録されている「シャマランのファミリービジネス」ど題されたインタビューによると、M・ナイト・シャマランは「映画は僕自身を表す。『アンブレイカブル』(2000)『スプリット』(2017)も例外ではない」と述べている。
この親父シャマランの言葉から、娘シャマランがこのテーマを撮ったことを考えると、彼女は”何か”に監視されていると思っているのではないか。それはプレッシャーなのか、親なのかわからない。
もちろん盛り込まれた都市伝説要素から、宇宙人が地球人を監視しているのではないか?という宇宙人がつくる動物園説や『マトリックス』シリーズ(1999〜2021)のようなシミュレーション仮説という見方もあるだろう。
近年、ひと昔前は都市伝説とされていたUFOに対して、各国が政策として取り組んでいる。日本でも、令和6年6月6日、「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」、通称「UFO議連」が国会内で発足された。
全世界で猛威を振るったコロナ禍以来、街中には目に見えて監視カメラが増えた。そして、ChatGPTをはじめとするAIの台頭によって、リアルとフェイクの違いが、どんどん気付きづらくなっている。
すべては自分で行動して確かめて決断しなければならない。
あなたは観るものか、観られているものか。本作を鑑賞したら、ただの傍観者では済まされない。
自分は”誰に”監視されている、”誰を”監視しているを考えてみたい。
文 / 小倉靖史
28歳の孤独なアーティスト ミナは、贈り物を届けるだけのはずだったが、そこに閉じ込められ“謎の何か”に毎晩監視されている。“監視者”は何者なのか?そして何故彼女は閉じ込められ、監視されているのか。
監督:イシャナ・ナイト・シャマラン
出演:ダコタ・ファニング、ジョージナ・キャンベル、オルウェン・フエレ、アリスター・ブラマー、オリバー・フィネガン
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト thewatchers